第1133話 見えない悪意
コンスタリオ小隊が見た光景、それは魔神族の部隊が兵器を残しているにも関わらず立ち往生しているという光景であった。
その光景を見たコンスタリオは
「移動車両が一斉に動作不良を起こしたとでも言うのでしょうか……それはまだ考えられなくもないですが、それでも異なる大陸から出撃した部隊が一斉にこんな事になるなんて……」
と困惑を隠しきれない。
「ああ、通常の部隊編成であれば有り得ねえ……いや、百歩譲ってそれはあり得たとしてもだ、こんな事がこのタイミングで起こるなんてもっと有り得ねえ。
となるとこれは偶然じゃねえ、考えられるのは……」
「魔王陣営が何かを仕掛けた、そう考えるのが妥当な線でしょうね。
まあ、その何かが何なのか……その点はまだはっきりとは掴めていませんが」
モイスとシレットもこう発言を続ける。
シレットの発言は一見すると冷静であるかのように思えるがその顔には明らかに動揺が浮かび、声も震えが混じっていた。
「それはそうだとして、一体何を狙って……」
コンスタリオがそう告げると同時にそのエリアに更なる熱源反応が感知される。
それは明らかに地下から地上に迫っていた。
それが地上に接近するに伴って地上に居る魔神族部隊の動きも慌ただしく鳴り、同時に早くその場から離れようとする様な意図を感じさせる。
「兵士の動きが慌ただしくなっていますね……地下から反応が迫っている事と言い、何かが起ころうとしているのは明白です」
シレットがそう告げるのとほぼ時を同じくして地下から熱源反応の正体である兵器が多数出現する。
「地下から兵器……あのエリアにも地下施設が存在していたという事なのでしょうけど、あの慌て方は……」
「何処か異常な雰囲気が漂うぜ……何だ、この違和感は……」
その兵器が地上に現れた直後、兵器は明らかに魔神族部隊の兵士を標的とする動きを見せ始める。
「これは!?この兵器達は……」
コンスタリオがそう叫んだと同時に衛星からの映像、画像が乱れ、現地の様子が閲覧出来なくなる。
「映像が乱れて現地が確認出来ない!!どうなっているの!?」
シレットがそう叫ぶと通信機越しのブエルス司令も
「此方でも同様の減少を確認した、どうやら衛星の送信機能にあの兵器達が干渉している様だ!!これでは現地の確認が出来ん。
熱源反応の感知は可能である以上、此方に兵器が不意をついて接近してくるということは無いだろうが……」
と言葉を続け、この異常が兵器によって齎されている物だと断言する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます