第1100話 忌まわしき、忌むべき光景

シレットの活躍で小型兵器の一掃に成功した一行は豊雲と共に目の前に見える大型装置へと足を急がせる。

そして装置の中に突入するとその中は暗闇に閉ざされ、無機質に動く機械の音がただ響いているだけであった。

だがその響いている機械の音、ベルトコンベアの音が一同の抱く警戒心を更に強める。


「この中でもベルトコンベアの音が響いている……つまりこの中でも兵器が生産されている。

でもそれだけなら特筆すべき部分はないはず……ならその特筆すべき部分は……」


コンスタリオがそう言葉を発すると同時に一同が視線を上に向けるとそこは真っ暗であり、何も見えない……いや、一切の視界が閉ざされていると言っても過言ではないレベルの暗闇が一面に広がっていた。


「あの暗さ……幾ら周囲が覆われていると言っても、全自動プラントであると言っても不自然すぎます……あれだけ暗いと何かあった時に作業を行う事すら出来なくなりますよ……」

「ああ、それでも敢えてああしているのだとすれば、あそこには相当見られたくない物が存在してるって言う事になるな……」

「なら、それこそ暴く必要がありますね!!純白の風光」


シレットとモイスの言葉に続けて豊雲が妖術を使用する。

すると上の方に白い光が集まっていき、その周囲を眩く照らす。

だがその光で映し出されたのはある意味周囲を覆っていた闇よりも更に深い闇、いや黒色というべき、それ以上であり、最早黒や闇と言った言葉すら生温く思えるような光景であった。


「一寸……あれって……」

「ああ……間違いねえ……あれは……」

「そんな……こんな事って……」


一同が口々に衝撃を受けた事を思わせる発言を口にする。

一同の目に飛び込んできた光景、それは兵器の中心と思われる赤い球体に生命が入れられ、その周囲に兵器の部品が接続されて組み上げられていくという光景であった。

組み上げられた兵器はそのままコンベアで下に降ろされ、一同の目の前に立ち塞がる。


「生命を制御装置にしている兵器……分かってはいた事ではあるけど……」

「いざ目の前でそれをまざまざと見せつけられると……ね……」

「私達に出来るのは安らかに眠らせてあげる事……それしかありませんね……」


シレットとコンスタリオの言葉に続けてアンナースはそう呟くと手にした狙撃銃から次々と弾丸を放ち、兵器の関節部分を狙って破壊した後に中心部分の比較的装甲が脆い部分を貫く。


「アンナース……貴方……」


言葉と略同時に攻撃を加えたアンナースの動作を見てコンスタリオは不安を覚える。

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