第1090話 プラントの陽動

そんなアンナースの後を追ってコンスタリオ小隊も施設内に突入する。

するとやはり関連性があるのか、その施設の中も前回の作戦で調査した施設と同様、不気味で重い空気に包まれていた。


「この嫌な空気……前回調査した施設と同じですね……」

「ええ、そうなってくるとやはり、この施設もブントの支配下にあるのかも……只、そんな物が地下に存在しているのであればどうして今までそれを活用してこなかったのかという疑問が残るわね」

「この施設が虎の子なのか、それとも何か理由があるのか……何れにしろブントがこの施設を動かしてきたのは事実だ、となるとブントにとって現状は虎の子を起こさなければならない程不味いって事にならねえか?」

「それを確かめる為にも先に進みましょう、今ここでそれを話していても仕方ないわ」


コンスタリオ小隊は入り口で施設についての感想を述べた後、そのまま奥へと進んでいく。

そんな彼等を天井から見つめる不気味な目には気付かないままに……

一同が先に進んでいくとそこには兵器の生産プラントらしき部屋に辿り着いた。

だがその光景はコンスタリオ小隊に疑念を抱かせる。


「ここは兵器生産プラントのようね、だけど……」

「ええ、妙ですね。

前回調査した施設は奥の方、それもかなり厳重な警戒が敷かれた場所にプラントが置かれていた、それが今回はこんな直ぐ近く、それもあまり警戒がされていない場所に配置されている。

施設が違うのであれば扱いも違うと言ってしまえばそれまでの話ですけど……」

「それだけでは説明出来ない何かがある……そう思わずには居られませんね」


コンスタリオ小隊が疑念を抱いていたのはそのプラントの場所であった。

彼等が言う様にこの施設のプラントは前回の施設とは異なり入り口から程近い場所に置かれていたのだ。

その事実は前回の調査を踏まえているコンスタリオ小隊にとって到底納得の行くものではなかった。


「施設の目的が違うのか、それともこのプラントは囮か……」

「その両方の可能性を視野に入れておくべきでしょうね、そう考えるとここを調べるのに時間を掛けるのは得策とは言えないわ。

直ぐ目の前で敵が量産されている、それだけでも警戒するには十分過ぎるもの」


モイスの出した結論に対し、コンスタリオは部屋の調査を早々に終わらせる事を考える。

有言実行と言わんばかりに部屋の端末を起動し、その中にある情報を探り出すが何れもコレまでに得たことある情報ばかりであり、有力な情報は得られない。

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