第1062話 中に待ち受ける物

内心から次々と湧き出る葛藤に本来であれば最早考える事を放棄したくなるレベルである、だが目の前の現実が彼女に思考の放棄を許さない。


「アンナース、今は目の前の事に集中して!!この兵器を放置していたら貴方の故郷が危険に晒される事になるのよ!!」


コンスタリオの叱責を受け、アンナースはふと前を向く。

するとそこには直ぐ様迎撃の為に集まったと思われる兵器が群がってきた。


「……つっ!!このままじっとしていたら自分の実すら……仕方ありません、考えるのはコンスタリオさんの言う通り後ですね!!」


アンナースはそう自分に言い聞かせるように大声で言うと手に銃を握り締め、そのまま目の前の兵器へと向ける。

そしてその関節を狙い撃つように銃を連射し、目の前に現れた兵器を近づかせること無く狙い撃つ。

そしてアンナースの銃撃が終わると一同は更に司令部へと接近し、其の内部へと突入する。


「兵器の迎撃が一旦止みましたね……まだ直ぐ様送り込める程には戦力が存在していないのか、それとも誘い込んで一気に仕留めるつもりなのか……」

「兵器にそんな知恵があるのか……って言いてえ所だが、連携を取る兵器っていう前例が居るからな……あっても不思議じゃねえ」

「ええ、くれぐれも油断はしないで」


岬、モイス、空狐がそれぞれに兵器の迎撃が止まった事について私見を述べると一同は更に先へと進んでいく。

建物の内部は交戦した形跡こそ見られるものの、銃弾や壁の傷跡は明らかに的確につけられており攻撃が制度の高いものであった事を伺わせる。


「血痕や銃痕が残っていますね……ここに居た兵士達は何とか食い止めようとしてくれたんでしょう。

けど兵器の数に押されてこの司令部を放棄せざるを得なくなった」

「なら、僕達が奪回するだけだよ、コレ以上この兵器達と其の背後に居る奴に好き勝手をさせない為にもね!!」


岬の発言に続く天之御の言葉には明らかに気合が入っており、この施設の奪回、そして兵器の殲滅に対する思いの強さが感じられる。

だが其の強さは敵も引き寄せてしまうのかそこに兵器が集団で集まってくる。


「ここで兵器が出てきたってことは誘い込まれたのか、それともこの先に見られたくない物、行かせたくない所があるのか……どちらにしてもまずは此奴等を何とかしないとね」


天之御がそう言うと星峰は上空に飛び上がり


「天之御殿下の言う通りね!!狐妖術……白金の楔」


と言って自身の周囲に白金の水晶のような物を出現させ、兵器に当てて其の動きを、いや其の存在そのものを推奨の中に封じ込める。

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