第1042話 募る不信
「戻ったら司令官を問い詰めます、ですがその為にも今はこの施設にある対象物の回収を優先させて下さい。
そうしなければ恐らく此方の失態を追求する事で有耶無耶にされてしまうでしょう」
「手柄を立て、成果を出さなければ追求も出来ないという訳ね……確かにその通りかもしれないわ、ここはアンナースの言う通り、この施設の調査を優先しましょう」
アンナースの発言にコンスタリオは同意し、彼女を先頭に一行は先に進んでいく。
だが先程のアンナースの発言は
「確かに今回の一件、指令を出した奴を問い詰める必要があるわね……こんな危険性がある施設だという事を事前に通達もせずに……
例え捨て石にするつもりだとしてもみすみす捨てられるつもりはないわ」
と本心から出たものであり、その内側には少なからず今回の指令に対して、ひいてはブントに対しての疑念が芽生え始めていた。
「壁や床にも警戒しておいた方が良さそうだぜ、先史遺産の遺跡の中には壁や床に擬態している兵器もいたからな」
「そうね……これだけの規模の施設となるとそれらの兵器が配備されていたとしても不思議ではないわ」
モイスとシレットがそう告げると同時に引き寄せの法則が働いたのか、それとも悪い予感はよく当たるという事なのか、天井と壁からレーザーが一同目掛けて放たれ、完全に不意を突かれる。
一同は辛うじて回避に成功するものの、天井からも壁からもレーザーを放つシステムの様な物は見当たらない。
「つっ、言ってる側から仕掛けてきたか!!」
「しかも壁や天井に完全に同化している……その上で全く姿を見せずに攻撃してくるなんて厄介ね……」
全く姿が見えないという事にコンスタリオ小隊も不安を隠せない。
そうしている間にも次のレーザーが放たれ、一同を攻撃してくる。
「ここは早急に通り抜けた方が良さそうです!!ここに来るまでの通路にはこのレーザーが無かったのですから全ての通路に仕掛けられているという訳ではないのでしょう」
アンナースがこう叫ぶとコンスタリオ小隊はその叫びに対して頷き、視線を前方に向けて一目散に走り出す。
アンナースの予測通り、その通路の先にはレーザーは仕掛けられておらず、更に幾つもの扉を見つけることが出来た。
「ここは扉ですか……ですが、この扉も罠の可能性もありえますね……」
アンナースがそう言いながら扉に手をかけようとし、コンスタリオ小隊が警戒するが、予想に反してその扉は罠ではなく、すんなりと開けることが出来た。
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