第990話 新たなる決意
「そうか……コンスタリオもブントと密接に繋がっているんだ……その血族が協力しているという事は……」
涙名がそう零した事により、空狐は三人がその事に付いて気付いていなかった事を察知する。
「え……隊長さんと繋がりがある星峰や涙名君、それに殿下も気付いていなかったのですか?」
既に気付いているものだと思っていたのか、空狐は困惑した声を上げる。
「ああ……済まない、ブントの動きがあまりに此方の予想通りだったが故に舞い上がって失念していたよ。
そして、そうだとしたら隊長さんの身に何か危険が及ぶ可能性も……」
「その点は隊長も承知していると思うわ、そうでなければ態々エアロタウンまで出向いたりはしないでしょう。
隊長の口を封じるだけなら街の中に監禁でもでも何でもすればそれで済む話よ、そこに態々魔神族部隊を送り込む必要はないわ」
「だとすると魔神族部隊を送り込んだのは……」
「襲撃で目を逸らせ、同時に内部に向けられている疑惑の目を摘むのが狙いとは思うけど、同時にコンスタリオ小隊に恩を売っておく目的もあったのかもしれないわね」
空狐の困惑に続く一同の会話も又、それを裏付けていた。
「とりあえず、コンスタリオ小隊が此方に何らかのリアクションを起こしてきた場合、それに対して対処する必要があるね。
喧嘩を売ってくる事は無いにしても何らかの報酬や情報を提供する必要はあるかもしれない」
天之御がそう告げると星峰は
「ええ、分かっているわ。
くれぐれも失態を演じないように意識する」
と改まった口調で話し、今回の一件への対処の意識を改める。
「なら僕は今回の責任について、司令官と指揮官だけじゃない末端の兵士の方にも追求しておく。
司令官と指揮官程の罰は与えられないにしてもブントに対する牽制と釘にはなるだろうからね。
多少職権乱用かもしれないけど」
「通常の組織であればそう思われても仕方ないね、それに反発だって招く。
だけどこれは普通じゃない、まあ、だからって許されるって訳でもないんだけど、放置するリスクの方がもっと高い」
天之御とそれに続く涙名の言葉、それは組織の上層部に位置する者としての責任の重さについて物語っていた。
「ええ、愈ブントとの戦いが佳境に差し掛かりつつあるわね、当然向こうも相応の抵抗をしてくる筈……
これからは一つのミスがお互いに命取りになりかねない、そんな状況が待っていると思って望むべきでしょうね」
星峰も決意を新たにした表情を浮かべ、それに釣られたのか空狐の表情も変わる。
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