第988話 拷問室の謎
「わ、分かりました……全てお話します、ですから……」
司令官と指揮官は声を揃えて観念したのか、それぞれの口から今回の一戦について話し始める。
今回の一戦は上層部から突然の命令として行う様に指示された事、人族部隊はほぼ無抵抗で来る手筈になっていた事、それが予想外の抵抗を行った為に上層部に確認を撮ろうとしたものの通信が繋がらなかった事、目的がエアロタウン内部にある施設の制圧であった事、それら全てを声を重ねて話し始める。
「本当に其の言葉、虚言は無いの……」
司令官と指揮官に対し、疑いの目を向ける涙名、司令官と指揮官が所属している組織が組織なだけにそれは無理も無い事であった。
それに対し星峰と空狐が
「狐妖術……深層透視!!」
と言って目から光を出し、司令官と指揮官に当てる。
そして其の光が消えた後、二人も又、声を揃えて
「確かに嘘はないみたいね……今回の一件についてと言うより、ブントという組織自体についても既に私達が把握している事以上の事を隠していると言う訳では無いみたい」
と告げる。
其の言葉を聞いた涙名は
「そうか、二人がそう言うならそれが事実なんだろうね」
と言って納得した様子を見せる。
それに対して司令官と指揮官は安心した様な、不満げなような表情を浮かべるものの、それを口に出したりする事は無かった。
そんな事をすれば余計に自分達の置かれている状況が悪くなる事は火を見るより明らかだったからだ。
「なら、これ以上何かを知る事は出来そうにないね……とはいえ、ブントからの報復の可能性を考えると安易に君達を帰してあげる訳にはいかない、もう少し此処にいてもらうよ」
天之御がそう言うと一同は司令官と指揮官を其の場に残し、部屋の外へと出ていく。
その直後に空狐が
「あの……天之御殿下……」
「空狐の不満はある程度想像出来ているよ、幾ら何でも拷問までする必要があるのか……そう言いたんだろう」
と不満げな声を上げると天之御は即座にこう返答する。
「ええ……そもそもどうしてこんな拷問室が地下に……」
「それはね……元々ブントが此処を作ったからだよ」
空狐の不満げな声に対し、返答したのは天之御ではなく涙名であった。
其の答えに対し空狐は
「元々ブントが作った……じゃ、この拷問室を作ったのって……」
「そう、法皇だった僕の父だよ、恐らくは大罪人や反逆者の処罰という名目の元で作り出したんだろうと思う。
残念ながら城の資料には何故拷問室を作る必要があったのか、其の心境や理由までは書かれていなかったけどね……」
と驚嘆し、それに対し涙名は淡々と返答を行う。
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