第959話 敵地の宿泊
横槍が入った事で逆に現在自分達が行っている行動が正しいと確信したのか、コンスタリオ小隊がデータを調べる為に動かしている手の速さは先程までより更に速くなっていた。
「さっき交戦したあの兵器、そして此処に記録されているデータ、あれはやはり、今後の雛形ではなく、雛形から生み出されたれっきとした純然たる機動兵器ね。
それもデータを見る限り、ほぼ全ての能力が現行の兵器を大きく上回っている、もしこれが大量生産されていたら現在の戦況は変わっていたかもしれないわね」
「となると、先程容易に撃退出来たのはやはり兵器が攻撃を躊躇ったのが大きいと?」
「ええ、もしあれが大量に生産されてきて一気に攻めてこられたら私達も無事では済まないでしょうね、逆に言えば魔神族に大きな痛手を与える事も可能であった」
「隊長の血族が途絶えた問題の戦乱にそんな兵器が大量に投入されていたとなると、この作戦はやはり今後を大きく占う戦乱であった。
しかしそれは見事に失敗した、相手の力を見誤ったのか、それとも他に理由や原因があるのか、其の点は記載されていないけど」
「恐らくはこの作戦の立案、報告を務めるはずだった奴も命を落としたのでしょうね、そう考えれば納得がいくもの。
それに、そもそもよく考えてみればこの大自然の要塞とも言えるような場所で大規模な戦乱が起こる事自体不自然なのよ、こんな所に何の準備も無く敵が進行してくるとは思えない」
「となると考えられるのは何らかの作戦の舞台として選ばれたという線でしょうか?
あくまで仮説ですが……」
コンスタリオ小隊は口々にお互いの見ている情報を口頭で伝えつつ、次のデータへと其の目を移していく。
そして戦乱についてあらかた調べ終えると
「ふう……しかし凄い量のデータですね……流石に一日で調べるのは無理がありませんか?」
「そんな事は百も承知の上よ、だからこの内部の宿泊設備を使わせてもらうわ」
「つまり、今日は此処でお泊りって事ですか?敵地でお泊りっていうのも呑気な雰囲気ですね……」
「敵地って……まあ、実際そうかもしれないわね、だけど此処は私の家でもあるもの、一応どんな設備があるのかは分かっているわ」
コンスタリオの一声でモイスとシレットは此処に一泊する事が決まる。
それに対して内心で不安を抱きつつも一方で隊長であるコンスタリオに対する信頼も抱いていた為、其の言葉に乗る事を決める。
そして其の場を離れ、直ぐ近くにあった扉にコンスタリオに案内されるままに着いていく。
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