第952話 異質なる隊長
するとモニターだけでなく、其の周囲にある機器も一斉に電源が入り、三人の目の前にある大型の機械が其の大きさに比例した大掛かりな音を立てながら動き始める。
「!?一体何なんです!?これまで見てきた総司令部にこの様な物は……」
「これがこのエアロタウンの総司令部の機能よ、この大型機器が常に最適な提案を作り出す。
時にそれに反するにしても全てはこの機器を通じて行われる、言わばこの機器に思考能力を与える事で常に最適な作戦行動を行っているのよ」
シレットが困惑した大声を上げる一方、コンスタリオは淡々とこう説明する、
この光景も見慣れた物なのだろう、全く困惑した声を上げていないのがそれを証明していた。
「だけどそれじゃ、この機械に異常が起こったら……それに、この機械を管理する人だって必要でしょう!?」
「それを担っていたのが私の一族という訳よ、そして行く行くは私も其の役目を引き継ぐことになっているの。
とは言うものの、流石に外の事情を知らないままでそれをする訳にはいかないという事は承知しているからこうして外に出て外部の経験を吸収しているという訳」
「ですが、その隊長が外に出ているというのであれば一体誰が……」
「それは私にも分からない、だけどもし、其の絡繰りに裏側勢力が関与しているのだとすれば、それを解き明かす事が結果としてスターと道を同じくする上で必要なことなのかもしれない」
尚も困惑した声を続けるシレットに対してコンスタリオは淡々と説明口調で話す。
其のやり取りを聞いているモイスはタウンの事情は把握していくものの、その内心では別の疑念を抱いていた、それはコンスタリオの説明口調が余りにも淡々とした抑揚のない物になっている事である。
この司令部にしても本当に此処がコンスタリオの自宅であるというのであればもう少し感情の起伏があっても良いのではないか、幾ら隊長という責務があるとはいえ、それだけでは説明出来ない様な淡々とした不気味さを感じずにはいられなかった。
それはこれまで見てきたコンスタリオともまた違い、まるで客人を見ているかのような印象を受ける。
モイスがこれ程の違和感を覚えるのはこれまでに無いことであった。
「さあ、早速調査を開始しましょう、この機器はデータベース機能も備えているから何か分かるかもしれないわ」
コンスタリオはそう言うと機器の操作を開始し、内部に記録されているデータベースへとアクセスする。
そこにはこのタウンがこれまで行ってきた作戦記録が当然の様に記載されていた。
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