第945話 恐れから出せなかった事
「私も、その可能性はずっと考えていました……だけど、心の何処かでそれを認めたくなかったんです……それを口にした瞬間に私の中の何かが崩れてしまうような、そんな気がして……」
「俺もだ……それを認めてしまったら、スターが俺達を裏切っている、そういう事になっちまうからな……けど、もしこの仮説が当たっていたとしたらそうじゃねえ、もし仮にスターと魔神族が協力関係を結んだんだとしても、その向かう先まで違えてはいねえ!!」
シレットとモイスもコンスタリオに対してこう告げる。
それは自分達もコンスタリオと同じ不安を感じていた事、そしてその不安が的中した時に受けるであろう傷を想像したが故であった、だがこの仮説は仮にそれが的中したとしても本質的な部分が崩れる事は無い、その事を三人に認識させるには十分な材料であった。
「二人共……そうね、仮にスターと魔神族が協力していたとしても、それが魔王側の魔神族であれば今の私達には少なくとも正面切っての敵という訳ではない。
なら、この情報を提供してくれたスターの為にも私達がやるべき事は……」
コンスタリオはそう強い口調でシレットとモイスに告げるとそのまま二人に何かを耳打ちする様にそっと口を近付ける。
そしてその何かを耳にしたシレットとモイスは共に首を縦に振って頷き
「ええ、了承しています」
と告げて端末の前に座り、スターに対して何らかの返信文章を打ち込む。
それを打ち込み終えるとコンスタリオはそのまま椅子から立ち上がり、モイス、シレットと共に何処かへと向かっていく。
その足が向かった先はブエルス防衛部隊の司令官の部屋であった。
そして部屋の前に立ち、扉を叩くと
「入れ」
という司令官の声が聞こえる。
それを確認したコンスタリオ小隊は一礼して部屋の中に入る。
するとそこには司令官がどっしりと構えていた。
その様子はまるでコンスタリオ小隊が此処に来る事を予め知っていたかの様にも見える。
「司令、一つ提案があるのですが……」
「申してみよ、この状況を直ぐに打開出来る案ではないのだろうが、お前が持ち込んでくるのであれば聞いてみる価値はあるだろう」
コンスタリオがそう話すと司令は剛胆とも言える身構え方でコンスタリオに話をする様に促す。
その様子はやはりこの場にコンスタリオが来て何かを話す事を予め把握しているかのようにも見える。
「実はある筋から得た情報によるとこの南大陸にあるエアロシティに魔神族に繋がる大きな情報があるということなのです」
コンスタリオがそう話を切り出すと司令官の表情が変わる。
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