第946話 コンスタリオの故郷

「エアロタウン……しかしそこは断崖絶壁の上に立つタウンだぞ、直ぐに行けるものなのか?」

「ええ、私達の飛空艇を使えば可能です、着陸可能な場所もあります」


司令官の問いかけに対し、コンスタリオは明確にこう答える。

その顔は偽りを含んでいるようには見えない、寧ろ自信満々といった様子だ。


「その自信……そうか、エアロタウンはそうだったな、その点を失念していた。

分かった、出撃を許可する」


コンスタリオの顔を見た司令官はその自信に納得が言ったという表情を見せ、コンスタリオ小隊に出撃の許可を出す。

それを確認するとコンスタリオは


「ありがとうございます」


と一礼してから司令室を後にする。

それを見届けた司令官は


「彼等も愈々気付き始めている……殿下、スター……もうすぐ交わる時が来るかもしれません……」


と何処か感慨深い表情で語る。

一方、出撃許可が降りたコンスタリオ小隊が当然この事に気付いている訳は無いが、飛空艇の元へと向かう途中でモイスが


「隊長、エアロタウンに到着する事について明らかに自信を持っていた様だけどその自信は根拠が本当に……」

「まあ、エアロタウンが他のタウンの住人からは考えられない過酷な環境に設立されているという点は否定しようがないわね、何しろ周囲は断崖絶壁、その上にあるのが不思議な位の広間があってそこに設立されている首都にも匹敵する大規模な都市。

常識的に考えれば良くタウンとして成立しているものよね」

「それを踏まえた上での自信は一体何処から来るんです?」

「ああ、それは簡単よ、私がそのタウンの出身者だから」


疑問をコンスタリオに告げるとコンスタリオはひどくあっけらかんとした様子でその疑問に答える。


「エアロタウンの出身者!?隊長が?」


モイスに対する返答は疑問についてはこの上ない答えであったが、同時にそれは別の驚きもモイスに与える。


「驚くのも無理はないわね、エアロタウンの生命は殆ど他のタウンとの交流を持っていないもの。

といっても零という訳ではないのよね、私の様に他のタウンの防衛部隊に配属されている生命も居るのよ」


コンスタリオの返答はまたしてもあっけらかんとした様子であった、だがモイスの驚きはそれに留まらなかったのか


「ですが……何故態々エアロタウンからブエルスの防衛部隊に……」

「さあ……その頃は私もまだ末端の兵士だったから理由なんて考えた事もなかったわ、だけど、今思えばそれにも裏側勢力が関わっていたのかもしれない。

だからこそこのタイミングで調べる必要があると思ったのよ」


モイスの更なる疑問に対してもあっけらかんと答えるコンスタリオだが、次第にその声が低く険しい物に変わっていく。

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