第913話 動き出した胎動
「警報音!?一体何があったの……」
天之御がそう告げた直後、謁見の間のモニター前方に映像が映し出される。
其処に映っていたのは人族部隊の指揮官と思わしき生命であった。
「君は東大陸の……何かあったの?」
警報がなっているにも関わらずこの様な問いかけをする天之御の言葉は一見すると素っ頓狂な様にも思える、だがその内心では、いや、内心を推察するまでもなく、その顔は全く浮いた部分は見られない。
恐らくは何かあったということ事態は既に察しているのだろう、それを聞かれた人族部隊の指揮官らしき存在は
「ええ、といってもその何かが起こった地域は此処ではなく、ここから東に更に行った所にある平原地帯なのですが」
と告げる。
「平原地帯に何かあったの?」
つい先程まで推測していた東大陸の中、そこで何かが起きそうな予感が既にその場にいる全員が感じていた。
それ故に天之御は先程の声となったのだろう。
「ええ、突如として先史遺産の兵器が出現し、そのまま近くにあるブント側の部隊が入り込んでいる街の方へと向かっているんです」
司令官がそう告げると星峰は情報端末を操作し
「これね……確かに熱源反応が多数感知されているわね、そしてその兵器はブント側の部隊がいる街へと向かっている。
これが何かのマッチポンプなのか、それとも……」
と告げる。
それを聞いた天之御が
「熱源の数は結構な物があるね……マッチポンプの為に出撃させたにしては数が多すぎる……やはり何かあったと考える方が良いかも知れない」
そう話している間にその熱源反応は問題の街へと到達し、星峰は直ちに現地の映像を画面に映し出す。
すると其処には暴れまわる先史遺産の兵器とそれに応戦する現地の部隊、そして混乱し、避難に遅れが生じている民間生命の姿が映し出されていた。
「現地の住民の避難はなされていない……やはりこの襲撃は兵器の側が引き起こしているの……」
「その話をしている場合じゃないよ!!民間生命もこのままじゃ危険に晒される」」
その映像を見た岬がこの熱源反応に対して考えを述べるとそれに割って入る様に涙流告げる。
涙名の言う通り、これ以上兵器を放置しておくと民間生命に被害が及ぶ可能性は十分あった、いや、もう及んでいるのかも知れない。
「ああ、これ以上あの兵器を放置しておくわけには行かない!!
もしそんな事をすれば最悪は他の街にまで危害が及ぶ可能性もある」
天之御がそう叫んだ次の瞬間、一同はお互いの顔を見合わせ、首を縦に振って頷く。
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