第909話 時に誂い、時に真摯に
「スター……いや星峰、今回の作戦は君の見込み通りとなった。
そしてこの一件で先史遺産の驚異も改めて浮き彫りとなっている。
私達の戦いもここから新たな段階に行かねばなるまいな」
司令官はそう呟くと目の前の端末に何かの文章を打ち込み始める。
そして其の打ち込みを終えると送信ボタンを押し、その文章を何処かへと送信する。
最も、其の送信先等元から一箇所しか無かったが。
そう、今司令が呟いていた星峰の元である。
同時刻、星峰は自身の部屋の端末の前に座っていた、当然司令官からの通信文章の受信も其の場で確認する。
「ブエルス防衛部隊司令官からの連絡か……という事は上手く行ったのね……」
そう内心で思いながら受信した文章を確認する。
そして一通り目を通すと星峰は
「上手くやってくれたみたいね、そして予想通り先史遺産の遺跡はあの地図の殆どの場所に作られていた……それは此方が調査したデータからも明らかね。
となると、次に考えうるのは……」
と呟き、そのまま起立して何処かへと移動を開始する。
其の足の向かった先は何時も向かう謁見の間であった、其処には既に他の面々の顔が揃っており、今日は豊雲の顔も見られる。
「豊雲も来ていたのね、それに他の皆も。
という事は東大陸で何かあったの?」
そう星峰が問いかけると豊雲は
「何かあったという程の事ではありません、只東大陸の先史遺産について一斉調査した結果を天之御殿下に報告しに来たのです」
と返答する。
星峰は其の返答に対し
「それを態々ここに来てっていうのが何かあったのか不安にさせるんだけど……東大陸は不確定な要素も今尚多いのだから。
まあ、其の不確定な要素を少しでも減らす為にこうして一斉に調査しているとも言えるのだけど」
と誂っているとも本気で心配しているとも取れる発言をする。
「僕が呼んだんだよ、豊雲にも一斉調査の詳細を知ってもらった方が良いと思ってね」
天之御がそう発言すると星峰は
「ならそうと早く言って欲しいのだけど」
と少し不満げな声を出し、それを聞いた天之御は
「その前に君が喋りだしたんだろ」
と少し困った様な口調で返答する、だが其の顔は笑顔であり、明らかに誂っている様子が見て取れる。
それを見た星峰はふと溜息を付き
「まあ、良いわ。
私の方の報告もそれに関連する事だし、司令官が上手くやってくれたわ」
とさらっと本題に入っていく。
それを聞いた涙名が
「司令官が上手くやってくれたんだ……という事は例のエリアはコンスタリオ小隊が?」
と問いかけると星峰は首を大きく縦に振る。
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