第907話 先史遺産の根深い闇

「そうね、まずは其処から検討してみましょう」


コンスタリオはそう告げると眼の前の端末を起動、操作し、そのまま今回の作戦で調査されたエリアとスターの提供したデータの内、南大陸において何処が一致しているのかを照合する。

すると今回の作戦で調査されたエリアはコンスタリオ小隊が向かったエリアも含め全て調査されていた。

それを確認したコンスタリオは


「やはり今回の一件で該当エリアは全て調査されているわね……そしてその内報告が既に此の司令部に記録されているのは……」


と該当するエリアを更に絞り込むが、それでも殆どが該当する。


「それでもほぼ全域が該当しますね……此の事実から考えられるのは……」

「今回の作戦で調査されたエリアは殆どが遺跡のある場所って事か。

それも恐らくは南大陸だけじゃねえんだろうな、他の大陸にある該当エリアも遺跡のエリア、既に判明している箇所とも一致している。

先史遺産の遺跡、その総数がかなりあるって事は読み取れるな」


コンスタリオとモイスが告げた事実は先史遺産の遺跡が秘めている歴史と闇が相当に根深い事を暗示している様に聞こえる。


「こうなってくると報告が上がっていない箇所の方が目立っていますね。

本当に何もなかったのか、あるいはデータにダミーが紛れ込まされていたか、それとも……」

「調査に向かった部隊が裏側の息のかかった部隊だったか……此の何れかってことになるんだろうな」


コンスタリオ小隊が現在指摘した報告されていないエリアについての仮説は此の三つに絞り込まれた。

無論、彼等もそれ以外の可能性を考えていない訳ではない、だが現状ではそう考える方が遥かに容易であったのだ。


「それによく考えてみれば、抑々もう記録が上がってきているという事自体少し不自然な部分があるわ。

もう少し詳細な部分まで詰めてから報告書を上げるのが軍隊としては通例な筈、それがないということはつまり……」

「もしかして、向かった部隊も元から分かっていた?」

「その可能性はあるわね、何しろ司令官が何かを隠している状況だもの、他の部隊が何を隠していたとしても驚くに値しない事だわ」

「場合によっては魔王と繋がっている可能性も視野にいれるべきだろうな、それが良いか悪いかは別にしても」


コンスタリオ小隊はこう告げ、魔王と人族部隊が繋がっているのではないかという疑問を新たに抱く。


「まあ、今回の一件で先史遺産の場所は分かった、これからどうするかは又考えましょう。

今は司令も言ってくれた事だし、休みましょう」


コンスタリオはそう言うと端末の電源を落とす。

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