第898話 コンスタリオ小隊の結論

コンスタリオの其の言葉を聞き、モイスとシレットは資料の棚に駆け寄って左右にある資料を確認する。

するとコンスタリオの言う通り、確かに左右の資料で閉じられているファイルの種類が異なっていた。


「確かにここで異なっていますね。

という事は此処を調べれば……」


シレットとモイスはそう言うとそれぞれ左右の両端の資料を手に取り、其の内容を確認する。


「こっちの資料の最後の日付はE1974と書かれていますね。

つまり、この年のこの日まで此処で発掘作業が行われていたという事でしょう」

「こっちの資料の初めの記述にはE1989って書いてあるな、つまりこの日から発掘が再開されたって事か……けど、どうして15年も感覚が空いて……」

「待って……1989って確か、今のこの戦争が開戦する前の停戦が結ばれた年じゃ無かった?

そしてその前の開戦が確か其の20年前の1969だった筈、という事は……」

「其の戦争がきっかけとなり、それまで行われていたこの場所の発掘を中断せざるを得なくなった、そして停戦をきっかけに再開した、考えられなくはないわね」


資料に残されていた記述を元にコンスタリオ小隊は此処で何が起こったのかを推測し、一つの結論を出す。

それは他に疑いようのない結論であった。

他の可能性も検討したものの、それ以外に納得出来る仮説を立てる事は出来なかったからだ。


「戦争をきっかけに中断と再開が行われた、でも、もしそうだとしたら何故戦争中に此処の発掘を続行し、個々から得られた技術を戦争に応用するという発想に至らなかったのでしょうか?

個々にあるのがもし先史遺産と同等、或いはそれ以上に有用な技術だとしたらそう考える存在が出てきたとしても不思議ではないと思うのですが」


だがシレットが其の結論について納得しつつも一つの質問、疑問を投げかける。

それを聞いたコンスタリオは


「確かに其の点は妙ね……もう少し資料を読み勧めてみれば分かるかも知れないわ」


そう言って資料を読み進める事を提案し、且つ自身も手に持って調べ始める。

その資料の内容はこのエリアに先史遺産と同様、或いはそれ以上の技術が埋まっている可能性は十分にあるという事が記述されており、先程のシレットの疑問はもっともであるという事が裏付けられる。


「確かに此処には先史遺産と同等、或いはそれ以上に有益な技術が存在している可能性が示唆されているわね……

にも関わらず一時的に穴が空いているということは……」

「それよりも優先するべき何かがあった、そう考える他ねえよな」


コンスタリオとモイスの結論も又、同じ様なものであった。

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