第894話 新たな任務へ
「で、隊長、スターが送ってくれたデータを調べてみたのですが、此の南大陸においてもその候補地として表記されているエリアが幾つか確認出来ました」
シレットはそう言うと改めてスターの添付していたデータをこの世界の地図と重ね合わせ、南大陸にも該当箇所があるという事を添付する。
それは確かに重なり合っており、問題箇所が南大陸にも存在しているという事実の裏付けにもなった。
「つまり、何方の魔神族が動いてきているにしろ、今後は此のエリアについての動きに注視する必要があるわね。
もし魔王側の魔神族であればそれは尚の事、裏側がその問題となるエリアを抑えるのを阻止したいのでしょうから」
コンスタリオが魔神族側の動きを予測するのと時を同じくして部屋の中にブエルスの部隊司令官が訪ねてくる。
「司令官……幾ら司令官でも扉を叩く位はしていただきたいのですが……」
「一応叩きはしたのだがな、楽しいお話に遮られてしまったようだ」
コンスタリオが少し不満を口に出すが司令官はそれを見事に切り返す。
それは先程の司令室のやり取りを彷彿とさせる。
「司令室でもこんな感じでやり取りをしていたの……?」
シレットが内心にふと疑問を抱くが、司令官はそれを知ってか知らずか
「先程の司令室での決定事項に関連する事だが、コンスタリオ小隊に命令を出す。
これは司令官としての命令だ」
司令官のその一言はこれが軍隊という組織上無視や拒否は出来ないという事を暗に示していた。
その言葉故か、一同の顔も少し険しい物になる。
「魔神族への動きの警戒の一端として、此の南大陸においても奴等が狙っている何かが存在しているという可能性は十分考えられる。
又、以前の様に思いもよらぬ箇所から奇襲を仕掛けられる事もだ」
「魔神族の部隊の中には転移能力を持つ者も居ますからね……今まであまりそれを使ってこなかった分、これから一気に使用してくる可能性は十分考えられると思います」
「そこで此方側も奴等に先んじて南大陸内を調査し、奴等が何を狙っているのかを先に特定する。
場合によっては其処から反撃に転じる事が出来るかもしれんからな。
それに仮に外れを引いたとしてもそれはそれで奴等の目を欺く事が出来るかもしれん」
「此方が動くこと事態が陽動になる、そういう事ですね」
司令官とコンスタリオが会話を続けると、その指示の内容を一同は徐々に察し始める。
「そこで諸君らには今から指定するエリアの調査に向かってもらいたい」
司令官のその言葉にコンスタリオ小隊はやはりか……と言いたげな表情を浮かべる。
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