第892話 コンスタリオの失策

「コンスタリオさん?どうかしたんですか?」


アンナースに声を掛けられ、コンスタリオは思わず動揺する。

声を発してしまったのはコンスタリオ自身も完全に呆気に取られていた、それだけこの構図には動揺してしまったのだ。


「え……ええ……」


声を上げてしまった事自体で動揺し、其の直後の返答も何処か辿々しい物になってしまう。

そんな様子を見たアンナースは


「コンスタリオさん?どうしたんですか?」


と一見すると心配する様な声を掛ける。

だがコンスタリオはその内心は


「アンナースは一見すると私を心配してくれているように見える……けど、実際は恐らく私に対して揺さぶりを掛けているんでしょうね……

となると……」


と予測し、実際アンナースの内心は


「今のコンスタリオさんの返答は明らかに動揺した声だった……となると、恐らく今の返答も明らかに辿々しい……恐らく何かを隠しているんでしょうね」


とコンスタリオに対する搖さぶりを掛けるという意図は持っていた。」


「……ええ、実は先程、私の同志が送ってくれたある情報があるのですが、其の情報の中に記されていた危険地域がこの魔神族が展開しているエリアと完全に一致しているんです」


最早隠し通す事は不可能であると判断したのか、コンスタリオは名前こそ出さないものの、スターからの情報で得た危険地域とこの赤点が完全に一致している事を話す。


「それってつまり、魔神族が其のエリアで何かをしようとしているという事ですか?」

「まだそれは断定出来ません……ですが、一致しているという事だけは確かです」


キャベルの部隊司令官がそう訪ねてくるとコンスタリオは一致しているという事実だけを話し、これ以上下手な追求を受けない様に取り繕う。

それが功を奏したのか


「そうですか……ですが、これだけのエリアで一斉に何かを初め、しかもそれに対して動かせる此方の部隊は現時点では存在しない以上、下手に刺激はしない方がいいかも知れませんね」

「ええ、何しろ奴等には現状南以外のほぼ全てのエリアを制圧されています。下手に動いて此方の鋤を作れば間違いなく進行を許すでしょう」


とキャベツの司令官とアンナースが結論を出し、今すぐに魔神族に対し何らかの行動

を起こす様な事はしないという結論に至る。


「それが得策でしょうね、ですが何らかの行動に備えて警戒はしておくべきでしょう」


ブエルスの部隊司令官がそう告げるとキャベルの部隊司令官も頷いて同意し、警戒を強めるという方針を決定する。

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