第890話 スターの真意

コンスタリオは直ちにモイスとシレットを自室に招き、スターから又メッセージが届いた事を説明する。


「スターから又メッセージですか?ですがそれだけならこんなに息を荒げて私達を集めたりはしませんよね、という事は何かあったのですか?」

「ええ、自分でもらしくないとは思ったけど、焦らずにはいられなかったの。

これを見てくれる?」


普段からは考えられないような行動を取ったコンスタリオに対し、シレットは内心に浮かんできた疑問を素直に口にする。

するとコンスタリオはシレットとモイスにスターから届いたメッセージが映った画面を見せる。

二人が其の画面を覗き込むと其処には


「隊長、この戦争の裏に潜む者についてですが、どうやら例の遺跡から入手した技術を使い、それを人族、魔神族の双方に流して戦争を煽っているようです。

そして、其の生産ラインにも遺跡の技術を使い、早々破壊されないようにしている、いえ、破壊されても容易に再生出来る様にしているようなのです。

其の具体的な内容まではまだ掴めていませんが、其の技術の入手先である可能性がある箇所が記されたデータを入手する事が出来ました、

これが其のデータです」


と言う文字が浮かび上がり、其の下には星峰が入手した施設の建設予定地のデータが添付されていた。

それを見たモイスが


「用意に破壊出来ない生産ライン……一体どういう仕組みになっているんだ……」

「それはまだ分からないわ、だけど、スターの言う通りだとしたらこの戦争の裏に潜む存在はお互いの戦意を煽り立てている事になる。

もしそうだとしたら其の目的は……」

「私腹を肥やす……でまず間違いないと思います、そしてスターも、魔神族の魔王も其の絡繰りに気付いたのではないでしょうか?」


モイスとコンスタリオが話し、想像した仮説に対し、シレットは直ぐ様明確な返答をする。


「そりゃ、可能性としてはそれが一番高いとは思うが、どうしてそう言い切れるんだ?」

「完全に言いきれる程の根拠がある訳じゃないわ、だけどそう考えればスターが何故直ぐに私達の前に姿を見せず、一人で独自に動き続けているのか、通信の連絡先が上層部ではなく私達なのか、其の点についても合点がいくわ。

そして、もし私の考えた通りだとしたらこの裏側の存在は双方の軍勢の上層部まで侵食しているのかも知れない……」


モイスからの問いかけに対し、シレットは的中していたとしたらとんでもなく洒落にならない仮説を口にする。

そして其の仮設が事実であるという事は当然知る由もないが其の顔は冗談を言っている顔では無かった。

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