第881話 悪しきメンテナンスフリー

「今の扉……今までの扉の武器の中で最も過激な攻撃を仕掛けてきましたね」

「だとすると、この先にあるのはそれだけ重要な施設って事なのかも知れないわね。

そして、今まで見てきていない施設で最も可能性が高いのは……」


扉の攻撃が今までよりも明らかに過激だった事に対し、空狐が抱いた疑問に星峰が回答する。

そして崩れた扉の奥にあったエリア、それは施設内で交戦してきた兵器が生み出されている生産ラインであった。


「やはり……生産ラインが存在していたのね」


星峰がそう呟くと天之御は


「まあ、残っているであろうエリアはこの位だとは思っていたけど、実際それを目の前にすると驚異を感じずにはいられないね……」


と言い、その視線を目の前にある生産ライン全域に向ける。

其の生産ラインはこれまで見てきたどんな生産ラインよりも大きく広く、又そこで生産されている兵器の数、種類もこれまでの生産ラインとは明らかに規模が違っていた。

それは入り口から見ただけでも明らかな程であった。


「あれだけの規模の兵器が一度に……それも多数の種類が生み出されているなんて……」

「流石に先史遺産の兵器の大本の可能性がある場所だけはあるね……」


余りの規模の違いに涙名も動揺を隠しきれない、その後に続いている天之御の発言も動揺が混ざっているのは明らかであった。


「そして更に厄介なのは、それが今もこうして可動し続けているという事ね……何とか破壊したいけど、まずはその前にやるべき事をやらなければ」


星峰はそう呟くと近くにあった制御装置を調べ、其の中に記録されているであろうデータを調べようとする。

だが程無くして


「……駄目ね、個々のデータもパスワードでロックされている。

これだけパスワードが徹底しているとなると、この施設に居た生命は嘸かしきっちりと管理を行っていたんでしょうね」


少し皮肉交じりの発言をしつつ、その内心に明らかに苛立ちを抱える星峰。


「ならよ、もういっその事……」


八咫はそう言うと妖術の構えに入り


「黒羽の五月雨!!」


を放って生産ラインに対し攻撃を仕掛ける。

だが八咫の放った羽根が直撃した生産ラインは傷は付くものの、直ぐ様修復を初め、そのまま何事も無かったかの様に兵器の生産を続ける。


「生産ラインに自己修復機能が!?つっ……流石にここまでしてくるとなると……」

「これだけ大きなラインとなると一気に破壊しないとやがて再生されるだろうね、そして、そう簡単にそれはさせてくれない……」


涙名と天之御の声に続き、一同の目の前に多数の兵器が向かってくる。

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