第880話 其の守りは強固
「という事はつまり、其の端末にもパスワードロックが掛かっているの?」
「ロックなんて生易しい物じゃないわ、解除に失敗したら何が起こるか分からない表記になってる。
最悪の場合、この施設そのものが自爆することだって考えられるわ」
「敵に情報が渡る位ならいっその事全て無に帰するって事か……」
星峰、天之御、八咫がそれぞれ口にした言葉は一同にこの施設の危険性を改めて十分すぎる程に教え込ませる。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず……とは言うけども下手をすると其の得た虎子共々私達まで吹き飛ばされかねない、恐ろしい話ですね……」
空狐のその発言に端末を操作する星峰の手も止まる。
「星峰……一体どうしたの?」
「駄目ね、端末を調べてみたけど施設内の他の場所を調べるデータには殆どロックがかかっているわ。
下手をすると本当に私達が吹き飛ばされるかも知れない」
空狐が星峰の行動に疑念を抱くと星峰はその手を止めて残念、不服そうな口調でこう告げる。
いや、実際不服なのだろう。
だが下手をすれば全てが無に帰してしまうこの状況において無闇矢鱈に操作する危険性がある事もまた事実であり、その事実が星峰の動かす手を身長にさせているもの又事実であった。
「又パスワードで足止めか……何処かにパスワードの手がかりがあればいいんだけど……」
「少なくとも探してすぐ出てくるものではないだろうし、其の探す過程でさっきのレーザーみたいな厄介な罠にハマってしまう可能性もある、そう考えると今は確実な手を討つべきでしょうね」
涙名の発言は決して楽観的な思想から出てきた訳ではない、本心ではそんな簡単に見つかるはずがないという事は当然承知していた。
だがそれでも口に出さずにはいられない、この施設を包む空気がどことなくそうさせるのである。
「なら、ここは一旦引き上げて残っているあの扉の奥に向うとしよう。
パスワードが解除出来ない以上、このままここに居ても仕方ない」
天之御がそう告げると他の面々も首を縦に振って頷き、一同は部屋を後にして来た道を戻り、例の分岐通路に戻ってくる。
そしてそこにつくと一同は残る一つの扉を目指して其の足を進めていく。
だが当然、其の扉は迎撃能力を持っているので其の前方に機関銃を生やし、一同に向けて乱射しようとしてくる。
だがそれを察したのか、星峰は扉に機関銃が生え始める前に接近し
「狐妖術……蒼穹の断絶!!」
といって青い円形の衝撃波を放ち、機関銃の全面を真っ二つに断ち切る。
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