第867話 歪んだ循環

残る扉はあと一つ、だが当然その扉にも又武器が仕掛けられており、近付いた一同に対し出現させた機関銃を乱射してくる。


「つっ、ここの扉は全部罠って訳か!!見た目には分かりやすくしておいたのは油断を誘うっていう目的もあるのかもね……

闇術……黒銀の暴発!!」


涙名はそう叫ぶと扉から出現した機関銃に対し黒い魔力を纏わせる。

そしてそのまま機関銃を放とうとした扉だがその銃は暴発し扉を破壊する。


「外からは油断させておいて……か、考えられない話じゃないね」


涙名の発言に対し天之御はその考えを肯定する。

戦術上も十分有効な手であると考えられるからだ。


「さて、この奥には何があるのか……」


八咫がそういうのとほぼ同時に一同は部屋の中に足を踏み入れる、するとそこは食料や日用品といった生活に必要な物が目の前のラインで製造されており、どうやらこの施設の生活を支える生命線のような部分であるようだ。


「生活する為に必要な物が作られていますね……しかもそれを循環させる設備も整えられている。

それ故に他の部屋と比較してもかなり大きいですね」


岬の言う通り、その部屋の大きさはここに来るまでに見てきた部屋と比較しても数倍の大きさが確保されていた。

それだけこの部屋が重要と言うことなのだろうか、それともそうしなければならない必然性があるのだろうか。


「この部屋だけで空気も水も食料も作り出せる上、それを施設中に分配する仕組みまで作られているわね。

だけど抜け目のなさは流石ね……」


部屋においてある装置管理用の機器を操作し、その内部に記録されていたデータを見た星峰はそう呟く。


「抜け目のなさって……一体どういう事?」


その言葉に引っかかりを覚えたのか、空狐が星峰にその意味を尋ねる。

すると星峰は


「みて、この記録されているデータに書かれている食料と水の成分、これを見てくれれば奴らの抜け目の無さが分かると思うわ」


星峰はそう告げると他の面々に対して画面を見るように促し、他の面々は星峰に促されるままに画面に目をやる。

するとその画面には星峰の言う通り水と食料の成分のデータが表示されていた。

それを見た涙名は


「これって……成る程ね……これが星峰の言う抜け目の無さか……」


とどこか納得した声を発し、他の面々もその様子を見て首を縦に振る。

星峰が示した水と食料の成分データには通常では混入し得ない成分が多数混入されていた、だがそれ以上に問題なのはその成分の中身である。

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