第810話 首都の罠

「これは……やはり、あの要塞は奴等にとって大本命だったみたいだね」

「ここの状況や戦力から考えてもそうだと思うわ。

そして、そうだった場合奴等の性格からして取るであろう行動は……」


天之御と星峰がそう言って同時に周囲を見渡すが、周囲には特に何も見当たらず、同行している人族部隊が


「何をお探しになっているのですか?此処には何も……」


と不可思議な目で二人を見つめる。

だがその直後に星峰は


「見つけた!!狐妖術……青天の水流」


と言って眼の前に鋭い勢いの水の槍を出現させ自身の目の前に飛ばす。

そしてその槍が何かにあたって止まるとそこには擬態兵器が潜んでいた。


「擬態兵器……此処にも潜んでいたんですね……」


人族部隊の兵士がそう言うと天之御は


「しかもアレは恐らく、只の擬態兵器じゃないよ。

こんな所に仕掛けられているということは恐らく……」


と言いながらその兵器に近付いていき、その一部を捲り上げるように調べる。

そして一目見ると


「……やっぱり、此の兵器は自爆を想定して作られているよ」

「自爆!?と言う事は……」

「そう、奴等は此処を捨てたって事さ、恐らく外にいた兵士はその事を知らずにか、或いは只戦うためだけに生み出された存在だろうね」


驚いた顔を見せる人族兵士に対し、天之御は軽い口調でそう言い切る。

だがその口調の裏には確実に怒りが渦巻いているのをその場にいた誰もが感じ取っていた。


「そうだとするとこの部屋にいる……いや、オペールタウン全域にもしかしたら……」


人族部隊の顔色が明らかに不安の一色に染まっていく。

それを見た星峰は近くにあった端末を操作し何かの作業をし始める。


「データ収集を行っているのですか?この状況でそんな余裕は……」

「それもあるけど、今回はそれだけじゃないわ……見ていて」


兵士の疑問に対し明確な返答をする星峰、するとその手元で普段使っている端末を取り出し、その操作端末に接続する。

すると操作端末のモニターに明らかに異常が発生し、その画面が乱れていく。


「星峰さん……一体何を……」


不可思議な顔と声で星峰を見つめる人族部隊の兵士達、その直後タウン内の警報が一斉に鳴り始め、目の前のモニターに赤い色が次々と表示される。


「!?一体何が起きたんです……」


困惑する人族部隊兵士に対し星峰が


「タウン中の擬態兵器を誤爆させたのよ。幸い此処に送り込まれている兵士は私達だけだからね。

誤爆させても此方に負傷者が出ることはなかったから」


と薄ら笑いを浮かべながら返答する。

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