第782話 進化するミミック・ウェポン

そのまま高速で兵器や兵士に接近し、得意の格闘術で岬は粉砕していく。

だがその隙を突こうとマンホールに擬態していた兵器が銃口を岬に向けているのに岬は気付いて……いた。

すかさず足に妖力を込め、剣の様に払うと兵士もろともその衝撃波で兵器を両断する。


「擬態兵器の存在は既に空孤や涙名が教えてくれているの、頼りすぎるのは危険なのよ」


岬がそう忠告するかのような発言をした後、周囲には岬が倒した兵士や破壊した兵器の残骸が転がっていた。

今の忠告は皮肉なのか、それとも自分自身に対する戒めなのか……そのどちらとも取れる様な印象であった。

そのまま岬が先に進んでいくと今度は大型の兵器が出現する。


「大型兵器もいるのね……まあ、当然と言えば当然なのでしょうけど!!」


岬がそう言って交戦の構えを取ったその時、周囲にあるビルや住宅からレーザーが放たれ岬を蜂の巣にしようとする。

それに気付いた岬はその場から飛び上がってレーザーを躱し、すかさず


「幻影妖拳!!」


と言うと妖力を込めた拳を次々と放っていき、レーザーが放たれた部分に直撃させて破壊する。

それを確認すると岬は地上に目をやり


「妖術貫徹!!」


と言って足に妖力を込めて降下し、巨大兵器の中心部分に対して攻撃を加え穴をあけて破壊する。

それを確認すると岬は


「マンホールや信号機と言った機器だけでなく、住宅等の建築物にまで兵器が擬態しているなんて……

やはりこの要塞は狂った奴等が建造したようね……」


と困惑を隠し切れない声を上げる。

やはり建築物に擬態していたというのは相当な威圧感を与えた様だ。


「この事を皆にも伝えておかないと……間に合えばいいのだけど……」


岬はそう呟くと手元に通信機を取り出し、他の面々に通信を入れる。

八咫、涙名、星峰が通信に応じると岬は


「星峰まで応対してくれるのね、後の報告が簡単になって助かるわ」

「そんな軽口を叩いている場合ではないのでしょう?早く本題に入って」

「そうね、実は……」


星峰に急かされ、若干軽く聞こえる口調から直ぐに真剣な口調に戻した岬はつい先程までにあった事を一同に伝える。


「建築物まで兵器に擬態しているなんて……それがこうした要塞の中であればまだいいけど、もし大陸内にそんな街を作られたりしたら……」

「ええ、これでこの戦い、尚の事負ける訳にはいかなくなりましたね」


岬の説明に対する反応を見る限り、どうやら他の面々はまだ建築物に擬態した兵器と遭遇してはいなかったようだ。

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