第778話 魔窟の要塞

「そうこないとね!!闇月斬」


涙名は空孤に対し本心である励ましが通じたのを確認するとそう告げて爪から三日月状の衝撃波を放ち、兵士と擬態兵器を含む兵器を衝撃波で両断する。


「ええ、行きましょう!!孤妖剣術……新緑の地風」


そう叫ぶと空孤は手にした剣を振り翳して地面を切り、その切った先からみどりの風を巻き起こして周囲の兵士、兵器をその風で切り裂き、巻き上げていく。

二人の斬撃により、その周囲には兵士の成れの果てと兵器の残骸が残るのみとなった。


「片付いたのは良いけど、擬態兵器がここに存在していたと言う事は……」

「ええ、ブントは先史遺産の技術もこの要塞に取り込んでいる、そう考えてまず間違いないわね」


涙名と空孤はここに擬態兵器が存在していた事でこの要塞に先史遺産の技術が使われている事を確信する。


「だとすると、これは僕達だけで処理できる問題じゃなさそうだ、皆にも連絡するよ」


涙名はそういうと通信機を手に取り、他の戦場で戦っている面々にも通信を送る。


その通信を受けた八咫は


「要塞内に擬態兵器か……分かった、此方も十分に警戒する、そっちも気を付けてくれ」


と、岬は


「そんなものまで取り込んでいるなんてね……先史遺産の技術がどれ位ブントの手に落ちているのか……

これ以上の悪用を許さない為にも放置は出来ないわね」


とそれぞれ先史遺産の危険性、そしてブントの欲深さに改めて警戒心を抱く。

そして通信を切ると八咫は


「擬態兵器まで確認出来た以上、空孤と涙名だけに背負わせる訳にはいかねえ!!

俺達も急ぐぞ」


と周囲の兵士に檄を飛ばし、兵士がそれに同意したのを確認するとその足、勢いを速めて要塞へ一気に接近していく。

そして要塞の外壁まで辿り着くもののそこに入り口らしき場所は見当たらない。


「玄関は正面だけって訳か……ま、普通の家でもそれは常識だよな。

だけど俺はそんなお行儀よくはねえぜ!!」


八咫はそういうと飛び上がり、その勢いのまま外壁へと昇る。

そして外壁に辿り着くと兵士達に


「俺はこのまま要塞内部に突入する、お前達は前方に回り込んで空孤や涙名が率いていた部隊と合流して足止めにあたってくれ!!」


と告げ、兵士達はそれを了承し移動していく。

その勢いのまま八咫が内部に降り立つとそこには早速小型兵器、住民の様な兵士が待ち構えていた。


「へっ、いきなりのお出迎えとはな……空孤と涙名から話は聞いているってのか?」


八咫がそう皮肉った言い方をすると同時に兵士と兵器は言葉を発する事も無く手にした銃を乱射してくる。

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