第776話 タウンという要塞
「お前達は一体何者だ?」
その人族はコンスタリオ小隊の事を知らないのだろうか?確かに銃を手にしている以外は外見は兵士ではなく一般住民であり、コンスタリオ小隊の事を知らなくても不思議ではないとも思える。
「私達はキャベル所属のコンスタリオ小隊、外部の部隊の支援の為に来ていたものの、救援要請を頼まれて此方に来ました」
コンスタリオがそう言うとコンスタリオ小隊は要塞内部に降り、その証明となる身分証をその住民に提示する。
それを見た住民は
「……成程、確かに人族部隊のようだな。
だが、救援要請とは一体どういう事だ?」
とコンスタリオ小隊の身分を確認したものの、懐疑的且つ横柄に聞こえるその喋りを改めてはいない。
コンスタリオ小隊の行動を未だに疑っているのだろうか。
「そういう貴方は一体何者なの?いきなり城壁を乗り越えた私達も問題はあるとは思うけど」
「私はこのオペールタウンに所属する人族だ。
お前達と同様の形で証明はしよう」
懐疑的な質問攻めに苛立ったのか、シレットが堪らず不満げな声を静かな口調ではあるもののぶつけるとその住民はこう言い切り、手元から身分証を取り出して見せる。
その身分証は確かに本物であり、少なくともこの住民が人族部隊の兵士であることは疑い様の無い事実であった。
「このオペールタウンに?この要塞そのものがオペールタウンだというの?」
「その点については外部に口出しは禁じられている。
救援依頼が事実であるというのであれば早く行くがいい」
シレットが更なる疑問を口に出すと兵士はそれを遮るかのような口調でコンスタリオ小隊を急かし、コンスタリオ小隊はその場から去っていく。
「なんなの……あの兵士、感じが悪いというか……」
「ああ、確かに気に入らないな。
だが、あの住民が兵士だというのであれば、もしかするとここに居るのは殆どが住民の振りをした兵士なのかもしれねえ、だとしたら迂闊な真似は出来ねえぞ」
「ええ、それにあの兵士が言っていたこのオペールタウンに所属するという言葉も何か引っかかる……もしかしてこの要塞自体がオペールタウンなの?」
その場から離れたコンスタリオ小隊は口々に不満や疑問を口にするものの、当然それらを口にした所で解決する筈もなく、当初の目的に沿って要塞の中心部分を目指す事を決める。
だがその直後、コンスタリオ小隊が居る方向とは正反対の要塞前方付近より爆発音が聞こえてくるのをコンスタリオは聞き逃さなかった。
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