第763話 異質なる兵士

前方で交戦する人族と魔神族の兵器、兵士であるが、個々の戦闘能力は明らかに魔神族側が人族側を上回っていた。

兵士の身体能力、術能力、状況判断能力や立ち回り等、その全てにおいて人族部隊を圧倒する。


「何だこの兵士達……今まで戦ってきた兵士とは明らかにレベルが違う……」


人族部隊の兵士達からは思わず困惑した声が漏れる、それ程魔神族の手練れ振りは明白であったからだ。


「確かにそうね……だけど本当にそれだけなの?この兵士達から感じる気迫……

今までの兵士とは明らかに違う、何かが……そして」


その光景を見ていたコンスタリオの内心はこれまで以上に疑念に満ちていった、それ程魔神族の兵士の強さが異様に感じられたからだ。

いや、異様なのではない、これまでにない程の強い意志を感じていたのだ。

そしてその意思は何処か、自分達にも当てはまるのではないか、そう思えていた。


「このままでは此方への侵攻を許す……場合によっては自爆させる事も止むを得ないか……」


指揮官の口からこの言葉が漏れると


「……私、加勢してきます!!」


と言ってシレットが交戦地域の方に駆け出していく。


「あ……おい!!待てよ!!」


それを見たモイスも又後を追い、それに続く形でコンスタリオも


「私達も兵士達に加勢します」


と言ってモイスとシレットの後を追跡していく。

それを見た指揮官は


「え……あ……おい!!」


駆け出していくシレットに追いついたモイスとコンスタリオはその場ですぐさま魔神族部隊の兵士からの攻撃を受ける事になる。

攻撃を躱し、反撃に移ろうとするがその隙をカバーする様に他の兵士、兵器からの攻撃に晒され、全く反撃する糸口が掴めない。


「くっ……少しでも気を逸らせれば!!」


モイスはそういうと攻撃を回避しながらにした銃から速射弾を撃ち、兵士の足元に向けて発砲し動作上の隙を作る。

その隙を突いてコンスタリオが得意の格闘術を打ち込んで兵士を跳ね飛ばすが、跳ね飛ばされた兵士は受け身の体制をとって地面に叩きつけられるのを避ける。


「!!あの体制から受け身を取った!?それだけの能力を持っているというの……

それとも私達の戦い方が知られている?」


兵士の見事な受け身にコンスタリオは動揺を隠せない。

その同様の隙を見逃さない兵士は尚もコンスタリオ小隊に攻撃を加えようとするが、その直後に人族部隊の兵器が攻撃を仕掛けてきたのを察知し即座に回避行動をとる。


「やはりこの兵士は只者じゃない……一体どういう存在なの!?」


兵士達の見事な戦い方にコンスタリオ小隊もこれまでにない警戒心に包まれる。

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