第746話 溢れ出す兵器
「つまり、この遺跡がここまでの災いを封じ込めたものであると言う事をブントも把握していなかった……いえ、現在も把握していないのかもしれないってことね」
星峰の発言の意図を汲み取ったのか、空孤も納得した表情を浮かべながらこう答える。
「ええ、そして恐らくは先日の輸送の際にその機能が作動し、ここまでの災いを齎すという本性を表した。
恐らくは技術の流出を防ぐ為の防衛システムだったのでしょうけど」
そう語る星峰の内心に以前調査した地下遺跡の事がその根底にあるのを想像するのは難しい事ではなかった。
いや、寧ろそれ以外の可能性等考えられなかった、それほどまでにこの状況は以前調査した遺跡と酷似していたからだ。
「それよりもあれを見て!!更に大型兵器が出現して地上に向かっているわ!!」
岬がそう叫ぶよりも兵器の行動の方が早く、一同は兵器に階段を昇らせるのを許してしまう。
「しまった!!直ぐに追撃するよ」
そう叫んだ天之御は真っ先に兵器の追撃に向かうが、大型兵器は次々と出現しそれらを退けている内に最初に出現した大型兵器が地上に到達しそうになってしまう。
「くっ、魔王妖術……閃闇の刹那!!」
天之御はそう叫ぶと全身を闇で包んでその闇毎大型兵器に向かって突進し、その中心部分に風穴を開けて破壊する事には成功する。
だが兵器は既に地上に到達しており、その残骸は地上へとその形を残す。
「くっ、ここまで昇る事を許すなんて……」
するとそこに何処からともなく
「さっきの魔神族部隊が階段から……と言う事はやはり、この階段は地下遺跡へとつながっているんですね」
と言う声が聞こえてくる。
天之御、そして遅れてきた星峰達が声の聞こえた方に体を回してみるとそこには先程の人族部隊が立っていた。
「さっきの部隊の方達ね……本部に戻る途中なの?」
空孤がそう尋ねると兵士の一人は
「え、ええ……」
と返答するがその返答は明らかに歯切れが悪い。
当然一同がそれに気付かない筈がない。
「どうしたんですか?随分と歯切れの悪い返答ですね」
わざとらしく問いかける空孤に対し兵士は
「それは……」
と明らかに後ろめたい何かがある様な様子を見せる。
それを見た人族部隊指揮官が
「実は……先程皆さんが遺跡に突入された後、散々通信を送っていたのに応対しなかった本部から通信が入りました」
と告げるとその場にいた兵士全員が明らかに動揺した表情を浮かべる。
「た、隊長……」
兵士の一人がそう呟くと指揮官は
「構わんさ、責任は私が取る」
と告げる。
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