第744話 変幻自在の遺跡

「早速お出迎えが来たって訳だね、それとも外のお客さんを待たせない様にご主人様に言われているのかな?」。


兵器を目にした涙名は皮肉をたっぷりと含んだ、しかしその顔は全く笑っていない状態でこう言葉を口にする。


「そうかも知れないね、そしてそうだとしたら僕達はここから先に進まなきゃいけない!!」


天之御も涙名に同調する形でこう言葉を続け、迫ってきた兵器を攻撃し始める。

既に外で迎撃している相手ということもあり、退けるのに時間はかからなかったものの、これだけ早くに迎撃部隊が差し向けられた事については一同も警戒心を強める。


「これだけ早く迎撃してくるということは、それだけ迎撃する仕組みが整っているという事なのでしょうか?」

「そうかも知れないね、だとしたらこの遺跡はやっぱり他とは違う何かがある。

そう考えた方が良さそうだ」


岬と天之御の会話に対し、他の面々も異を挟むような事はしなかった、それ以外考えられなかったからだ。

だがその時、空間全域に微弱な振動を感じ、それと同時に下から上に向かって突然階段が持ち上がり始める。


「!?地面がいきなり階段に……一体どうなっているの!?」

「それを考える前に、まずはあれを何とかする必要があるわ」


予期せぬ減少に困惑する空弧に対し、星峰は冷静にそう話して向こう側を指差す。

するとそこには又しても兵器が待ち構えており、その階段を昇ろうとしているのは明白であった。


「この階段を使ってこの森中に奇襲を仕掛ける事が可能って訳!?だとしたら完全に地の利は向こうにある事になる……厄介すぎる話だわ」

「ああ、だが狙いが俺達であれば態々今階段を出す必要はねえ、だとしたらその狙いは……」

「上にいる彼等かもしれないね、だとしたらここから先に行かせる訳には!!」


空弧、八咫、岬はそういうと兵器の方に向かっていき、階段を登ろうとする兵器を片っ端から退けていく。

その活躍もありどうにか兵器が階段を上がる前に全滅させる事は出来たものの、自由自在に階段を作り出す事が出来るというこの遺跡に一同は脅威を感じずにはいられなかった。


「今の方法がコンスタリオからの連絡にも合った兵器の奇襲の正体なのね……だとしたらこれは相当に厄介なことになるわ」

「うん、もしこの技術が暴走したとしたらここから無尽蔵に兵器が地上にあふれる事になりかねない。

或いはそれを狙っているのかもしれない」


星峰と天之御の表情は深刻であり、それがこの事態の問題性もあらわしていた。

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