第690話 移送任務達成

何とかバランスを取り、足を進めるモイスを心配そうに見つめながらコンスタリオとシレットは現地部隊に合流する。

幸い新たな敵の襲来は無く、下がっていた現地部隊に被害は出ていなかった。


「皆さん……大丈夫ですか?」


現地部隊の指揮官がコンスタリオ小隊に声を掛けてくる、それに対しコンスタリオは


「ええ、何とか大型兵器は退けました、今の内に」


と現地部隊に対し先へと進む様に促す。

それを聞いた指揮官は


「しかし……彼は……」


と何か心配事があると言わんばかりの発言をする。その視線の先に入っていたのは明らかにモイスであった、モイスの様子は初見で見ても明らかである程に疲労している、そうとしか見えなかったのだ。


「俺なら大丈夫だ……それよりも早く任務を!!」


モイスはそう言うものの、その声はどう聞いても大丈夫な声ではない、たまらず指揮官は


「しかし……了解!!」


とモイスの身を案じかけるが、その目に秘めた決意を感じ取ったのかその発言を了承し先へと進む事を承諾する。

そして部隊は先へと進んでいき、現地部隊は目的地である一行の拠点に辿り着く。


「ここまで来ればもう大丈夫でしょう、皆さん、ご協力ありがとうございました」


現地部隊の指揮官がコンスタリオ小隊に深々と頭を下げるとコンスタリオは


「ええ、後は此方で引き受けます、お帰りもお気をつけて」


と返答し一行はそこで分かれる事となる。

そこにアンナースが現れ


「コンスタリオ小隊の皆さん、任務の達成お疲れ様でしたと同時にありがとうございます」


と告げる。


「目的の技術や財宝はこれね?」


シレットがそう言いながら現地部隊が運んできた技術や機器を指差すとアンナースは


「ええ、今から解析を開始します、結果が判明次第皆さんにもお伝えいたしますのでまずはお身体を休めて下さい」


と告げ、その技術、機器を引き連れて来た部下らしき兵士達に運ばせ始める。


「分かったわ、そうさせてもらう」


コンスタリオはそう告げるとモイス、シレットを連れて拠点の中に戻っていく。

そしてモイスの部屋の前に着くと


「モイス、貴方は早く休みなさい。

その疲労の様子、簡単ではないのでしょう」


とモイスに告げる、するとモイスは


「へっ……やっぱ誤魔化しきれねえか、わりぃが、そうさせてもらうわ……」


そういうとモイスは扉を開け、自分の部屋へと入っていく。

そしてそのまま床に倒れ込む様につき、深い眠りへと落ちていく。

扉をそっと開け、シレットとコンスタリオはそれを確認するとその場を後にし、コンスタリオの自室へと入っていく。

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