第684話 守るべき物

「その彼等というのは誰の事を指しているの?」


ふと呟いたシレットに対しコンスタリオはその真意を問い質す、するとシレットは


「隊長も検討はついているのではないのですか?」


と茶化している様にも聞こえる返答を更に重ねる。


「……そうね、確かにそうかもしれないわね、その彼等とはあの二人の事」


シレットの本心を察したのか、コンスタリオはそのままその彼等の正体をどことなく暗示する。


「アンナースと司令、もしあの二人がブントと呼ばれている組織の構成員だとしたら、あの魔神族に挟まれていながら手中に収めていられる遺跡の事も納得がいく。

周囲が侵攻してこないという確証があるからな」

「ええ、もし同じ組織に属している者同士なのだとしたら、あらかじめ裏で口裏を合わせておくのは可能だわ。

恐らくはガンマタウンの侵攻も本来はその予定だったのでしょう」

「所が計算が狂ってしまった、それが魔王とその配下の介入、其れにより侵攻を真剣にせざるを得なくなった、その結果私達があの場所を知る事になった」


モイス、コンスタリオ、シレットそれぞれが前回の一件に対する疑問を口々に話し出す、そしてアンナースと司令への懐疑も又事実である事を確認し合う。

装甲している内にコンスタリオ小隊は目的地となる草原地帯の先史遺産がある遺跡へと辿り着く。


「ここが草原地帯の先史遺産がある遺跡……オアシスの時と違って如何にもといった雰囲気がありますね」


その風景をみたシレットがそう呟くのも当然であった、そこには地下に続く大穴があり、階段があり、如何にも何かがありますと言わんばかりの光景が広がっていたのである。


「元々オアシスの様に隠されてはいなかったのか、それともオアシスの様に隠されていたのを行き来や持ち運びの観点から開拓したのか、どちらにしても目立つ話ではあるわね」


コンスタリオはそう呟くと飛空艇を地上に降ろし、現地で作業をしている部隊へと近づいていく。

それに気付いた現地部隊が


「皆さんが今回我々の作業に協力して下さるコンスタリオ小隊ですね、お話は伺っております、早速なのですが、現在我々は彼方に先史遺産から入手した機材やそのデータを集めています。

あれを移動させる為の護衛を皆様にはお願いしたいのです」


とコンスタリオ小隊に近づきながら指揮官らしき人族を中心に話しかけてくる。


「護衛と言いますが、この辺りに魔神族は見当たりませんね、何か襲われる危険性もあるのですか?」

「ええ、今回の移送先である皆様の拠点に運び込むためには魔神族の勢力に挟まれた箇所を通り抜ける必要があります、それに……」


指揮官がそう言った直後、突然地鳴りの様なドンという大きな音が響いてくる。

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