第676話 何時もの様で何時もと違う
そしてそのまま転移妖術を発動させ、一同は何時も通りのブエルス、謁見の間へと帰還する。
そして何時もの様に作戦後の話し合いを始めるのであった。
「コンスタリオ小隊の皆……今回の一件で僕達の意図に気付いてくれたかな?」
「それは分からないし、ましてやそれを強制する事は出来ないわ。
だけど今回の一件で彼等に選択肢を与える事は出来た筈、後は彼等を信じるしかない」
涙名が少し不安げな声を上げると星峰はこう続ける、その言葉は涙名を諭している様にもそう自分に言い聞かせている様にも取れる。
その言葉から、やはり星峰も内心は不安なのだと言う事が周囲の面々には悟る事が出来た。
「今回の一件で彼等もブントの存在を知った、これでブントが彼等を取り込むハードルは相当高くなったと思うけど、それでもまだ不安は残るわね、其れに……」
「ああ、分かっていた事ではあるが、ブントが人工生命を作り出す技術と施設を既に地上にまで作っていたとなると、あの辺りのブントの侵食は相当なものであると考えていいだろう。
そうなってくると他にもブントの支配が強いエリアでは同じ様に人工生命が作り出されているのかもしれねえ」
空弧と八咫の発言により、場の空気はコンスタリオ小隊の心配からブントの現状へと流れが変わる。其れを決定づけるかのように
「今回の施設については内部に協力者が侵入してくれていたからスムーズに制圧する事が出来た。だけど今後は逆にこの一件からブント側もガードを固めてくると思う、最悪、内部に侵入している協力者を焙り出そうとしてくるかもしれない」
「そうなる前に協力者に連絡を入れて警戒体制を整えてもらった方がいいわね、もし焙り出しの標的にされた場合、万が一ブントが洗脳技術とかを手に入れていたりしたら最悪協力者が逆に利用される危険性もあるわ」
と天之御と星峰が発言し、その場に居た全員が懸念の表情を浮かべる。
「それも厄介な話ね……所で星峰、あの施設のデータを入手していたみたいだけどそこから何か分かったの?」
空弧が星峰に訪ねると星峰は
「入手出来たのはあの施設で生み出されていたブントの兵士の個人データだけね、奴等の中枢に迫れそうなデータは残念だけどあの施設にはなかったわ。
流石にそこまで迂闊でもないと言う事なのかもしれないわね」
と返答し、残念ながらそこまで目ぼしいデータは得られなかったと言う事を告げる。
其れを聞いた天之御は
「兎に角そのデータも念の為に調べておいて、もし奴等が兵士を生み出す技術を活用しているなら通常の生物と相違点が何処かから出てくるかもしれないから」
と星峰に詳細な調査を依頼する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます