第663話 非情なる真実
「その理由は簡単だよ、ここに居る人族も魔神族もブントによって作り出されているからさ、都合よく戦乱を引き起こす為の兵士としてね」
天之御が告げたその事実にコンスタリオ小隊は困惑の色を隠せない、そもそも最初から信じられるような話ではないが、今の発言はその中でも特に信じられないという気持ちを抱かざるを得ない発言であった。
「ここに居る人族も魔神族も……そのブントという存在が作り出した……しかも戦乱を都合よく引き起こすって……」
「そう、彼等は生命として生きる事すら許されない、ただ単にブントの為に動く兵士として生み出され、そして散らされるだけの存在、そういう事をやる連中なのよ、ブントという存在は」
困惑した顔と声を上げるシレット、そんなシレットを見ながら星峰はその背後にある事実を告げる、其れを聞いてシレットは……
「そんな……そんな事って……それじゃ、それじゃ私達……」
と落胆しその場にしゃがみ込む、その内心には全てを嘘だと否定したくても出来ない自分が居た。
「そんな生命を作り出すエリアが人族の施設内にある……それじゃ、そのブントという存在は人族内に……」
「人族だけじゃない、魔神族内部にもかなりの数が潜伏してるよ、しかもそれを気取られない様に度々自作自演の侵攻茶番劇を繰り返してる」
コンスタリオの震える様な動揺交じりの声に涙名が的確な事実を返す、其れを聞いたコンスタリオは
「そこまで……しているのにどうして私達はそれに気付けなかったの……」
と今までの自分達に対して愕然とする他なかった。
「ならスターは……スターが言っていた戦乱の裏というのは……」
「このブントの事よ、スター・ボレード、今もその行方は私達にも分からない、けど彼は何らかの形でブントの存在を知り、其れを伝えたかったのかもしれないわね」
モイスがスターの名前を口に出すと空弧はこう告げる、それはまるでスターの名前が出るのを待っていたと言わんばかりのタイミングであった。
その言葉を聞きシレットは
「その体で……スターの名前を出さないで!!」
と半ば金切り声に近い形の大声を上げる、それは今の彼女に出来る現実逃避の精一杯であった。
「そうね……確かに貴方達への配慮が足りなかったかもしれない、けど彼も又、ブントと無関係ではいられなかったと思うわ」
空弧はそう言い、コンスタリオ小隊に対する謝罪と共にスターに関する事実を告げる。
「無関係ではいられなかったって……どういう事なの!?」
その言葉を聞き逃さなかったコンスタリオが空弧に問い詰める様に迫る。
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