第650話 交わり始める物語
星峰の言葉で同意を得たと思ったのか、天之御は転移妖術を発動させ、一同をブエルスへと帰還させる。
だがその転移先は何時もの謁見の間ではなく天之御の自室であった、最もブエルスは人族側の施設を制圧している為、自室と言うのも言い得て妙ではあるが。
「あれ?何時もの謁見の間ではありませんが……一体どうしたんですか?」
何時もの謁見の間ではない事を疑問に思い、天之御に問いかける岬、すると天之御は
「偶には気分を変えて……と言う冗談は置いておくとして、転移妖術を発動させた直後に通信が入った事が分かったんだ、だからまずはそっちに対応するよ。
緊急通信では無いとはいえ、お客様を待たせるのは失礼だからね」
少し茶化した様な口調になるものの、直ぐに真顔に戻ってこう告げる。その言葉に星峰は
「それが出来る位の余裕はあるって訳ね……そしてお客様と言う事は」
と天之御の内心を推測する。
天之御の言う通り、部屋の通信機には反応があり何処かから通信が繋がっているのは確実であった。
天之御が通信機を手に取り、応対すると前のモニターにその通信を送って来た人族が映し出される。その姿を見た空弧が
「貴方は……」
と一瞬驚いたような口調で話すものの、全員特に動じた様子は見られない。
恐らくはこの人族が自分達の協力者である事の証明だろう。
「速やかに応対して頂けた事、感謝します」
通信先の相手はこう告げると天之御に対し
「で、今回通信を繋いだ件ですが、コンスタリオ小隊の情報提供を得て私達がオペールタウン周辺の施設について調べてみた所、色々と怪しい部分が出てきましたよ」
とその協力者らしき人族は告げる。
「コンスタリオ小隊の情報提供?一体どういう事なんです?」
コンスタリオ小隊と言う言葉に反応したのか、星峰がその協力者に問いかける、するとその協力者は
「彼等もこの戦乱の裏側について疑念を抱き始めています。その為独自にオペールタウン周辺の施設を調査し、その情報を私達にも提供してくれたのです」
と返答する、それを聞いた星峰は
「そうなの……でもどうして貴方方に情報を……」
と納得した様なしていない様な表情を見せる。その顔を見た協力者は
「それは……私達にも分かりません。只いきなり通信が来て情報提供を呼び掛けてくれた、其れだけなのです」
と告げる。
「そうなのね……ならそこは取り敢えず置いておくとして、色々と怪しい点が出てきたとは?」
現状すべき事を考えたのか、星峰は一度自分の私見を隅に置く。
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