第630話 予測不能の流れ
コンスタリオの奇策が功を奏し、魔神族は上空からの砲撃に対応出来ず連携を乱して行く。その隙を突いた人族部隊が部隊の中央を分断し、遂に魔神族の連携は崩れる。
「敵の布陣が崩れたわ、今よ!!」
それを確認したアンナースがそう叫ぶと人族部隊は総力戦を仕掛け、そのままの勢いで魔人族部隊を殲滅する。更にコンスタリオ小隊の活躍により、その場から取り逃がす兵士も居なかった。
「これで敵は全てね。後から何かが出てくるという訳でもないようだし」
シレットは如何にも終わったという風でそう語るが、その意見は逆にコンスタリオに疑念を抱かせていた。
只風が吹くだけの草原と土があるだけの静けさ、それが逆に不気味に感じられる程に。
「さて、迎撃は終わった事だし本部へと帰還しましょう」
そうコンスタリオは言う、その声は何時も以上に高く一見すると勝利を嬉しく思っているように聞こえる、だがその内心では少なからず渦巻く疑念に取り敢えずの区切りを付けるという意味も込められていた。
本部に帰還すると何時もの様に司令室に向かい、コンスタリオ小隊は事の顛末を報告する、だが今回は少し違った、アンナースもその報告に同席していたのだ。
拠点への帰還後、コンスタリオ小隊が報告に向かう事を発言すると今回はアンナースも同行を申し出たのだ、何でも司令官と話したい事があるからだという。
アンナースが直接そんな事を言ったのは初めての事であった、コンスタリオはそれに少し驚きを覚えつつも彼女の同行を許可する。
アンナースが話したい事と言うのが自身も気になったからだ。
今回の作戦の結果と言う通り一遍の報告を終えると愈々そのアンナースが口火を切る。
「司令、今回の魔人族部隊は転移妖術を用いて進行してきた物と推測されます。もし魔人族部隊が転移妖術を自在に扱う様な事になれば大きな脅威となる可能性が極めて高いです」
「成程……つまり今の内にその出所を探し出し叩くべきだと?」
「ええ……最も、その出所を探すというのも簡単ではないでしょうけど……」
アンナースが司令官に伝えたい事と言うのは転移妖術の事だったようだ、それを聴いてコンスタリオは納得する、だが一方で新たな違和感を内心の何処かで覚えていた。
それが何なのか自分でもはっきりとは分からないまま。
「分かりました、技術が技術なだけに直ぐと言う訳にはいきませんが、可能な限り早急な対応を出来る様にしましょう」
「ええ、最悪の場合、ここが転移妖術で奇襲を受ける事も考えられます」
司令官とアンナースの言葉にコンスタリオ小隊も危機感を募らせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます