第629話 急変する戦況

「目標を確認したわ、行くわよ!!」


コンスタリオがそう言うと飛空艇の砲台を魔神族部隊に向け、その中心部分を狙って放ちその爆発で部隊の一部を吹き飛ばす。

其れを合図にしたかのようにコンスタリオ小隊は地上へと降り、そのまま魔神族部隊に対し攻撃を開始する。

そこに後続の人族部隊も加わり、魔神族を迎撃する体制は整う、だが其れを見たコンスタリオは


「妙ね……たいそれた侵攻をして来た割には部隊の熟練がまるでなっていない。もしかしてこいつ等も先日の兵器と同じで?」


と迎撃が順調すぎる事で逆に疑問を抱き始める。だがその直後、その疑念を吹き飛ばすかのように魔神族部隊が息を揃えて一気に侵攻してくる。


「!?動きが急に改善された!?一体どういう事なの?」


シレットが困惑するとその隙を突いたかのように魔神族がシレットに集中攻撃を仕掛けようとする。そこにアンナースが現れ


「シレット、そのままの位置をキープ出来る?」


と問いかけてくる。その問いかけに対しシレットは


「ええ、この位ならなんて事は無いわ」


と返答し自信に攻撃してくる魔神族を引き付けていく、そしてシレットがある程度引き付けるとアンナースは手に狙撃銃を構えその銃弾を魔神族の急所に確実に直撃させていく。


「その狙撃の腕、流石ね……でも、私もこれだけで終わるつもりはないのよ!!」


アンナースの狙撃を目の当たりにしつつ、そう叫んだシレットは


「サンダー・ブラスタ-!!」


と言って両手から雷を扇形に放ち迫って来ていた魔神族の体を貫く。

だがアンナースとシレットが善戦する一方、それ以外の兵士達は魔神族の侵攻に押され気味になっていた。その状況を見たモイスが


「くっ、このままでは突破されるか……だがそうはさせねえ!!」


と言って両手に構えた短銃を乱射し、人族部隊を突破しようとする魔神族部隊を迎撃しその地に沈めていく。

モイスの攻撃に活路を見出したのか、人族部隊はそのまま体制を立て直して魔神族部隊を押し返していく。だが魔神族の抵抗も激しい、コンスタリオ小隊とアンナースは善戦するものの、それ以外の部隊は良くて互角、悪くすれば押し込まれて行く。


「何なのこいつ等……急に動きが良くなったり連携を取ってきたり……只の魔神族兵士という訳ではなさそうだけど……」


シレットが困惑した声を上げる中、コンスタリオは


「なら、此方も変化球で仕掛けましょう!!」


と言って飛空艇を遠隔操作し、その砲台を魔神族部隊が集まっている場所に撃ち込んでいく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る