第599話 施設要塞

男性のそっけない返答にコンスタリオは


「分かりました、では向かってみる事にします」


と頭を上げて礼をし、そのまま問題の施設の方へと歩いていく。だがその途中シレットが


「何なんでしょうね、あの男性。返答そのものがなんかそっけないっていうかなんというか。

余り話していて気分のいい方ではありませんでしたね」


と不満を口にする。それを聞いたコンスタリオは


「ええ、確かにそうね。そしてこの事がアルファタウンとこのベータタウンの疑念をより深めるわ」


とシレットの不満に同意しつつ、同時に前回の調査時に生じた疑念が先程のやり取りで更に増大した事を告げる。その発言を聞いたモイスも


「ああ、機械的でそっけない対応、同じ人族とは思えねえ、まるで感情を与えず、機械に育成されたみたいじゃねえか」


とその口から不満を零す。


「この話は帰ってからにしましょう、そろそろ見えてきたわよ」


コンスタリオがそう告げるとその言葉通り、問題の大型施設はすぐ目の前に迫っていた、外から見た時よりもその外見は砲台や見るからに分厚そうな装甲で覆われ、施設というよりも要塞の言う言葉が相応しい外見である。


「何とも物々しい施設ですね、いえ、施設というより要塞と言うべきでしょうか」

「そこは個人の判断でいいと思うわ、とにかく入り口に近づきましょう」


シレットとコンスタリオが外見についての感想を言い合った後、コンスタリオ小隊は問題の施設の入り口に差し掛かる。

だがその瞬間に


「本日は来訪者の予定はありません、来訪者の身分を確認出来る物を提示してください」


と機械的なアナウンスが入る。


「流石にここはすんなりとは通してくれねえか……」


入り口がいとも簡単に通過出来た事からここもすんなりいくと内心で少々ではあるが思っていたモイスはその考えが外れた事で少し落胆した様子をみせる、一方コンスタリオはそうは思っていなかったようで


「これでいいのかしら?」


とコンスタリオ小隊の身分証を提示する。すると入り口の機械は


「確認します……人族部隊登録と照合する記録あり、コンスタリオ小隊を確認、速やかに入り口を開放します」


そうアナウンスし扉を解錠する。


「物々しい外見に反してセキュリティは甘いのでしょうか?こうも簡単に入れるなんて……」


あっさりと入り口を通過出来た事で逆に不安と疑問を抱くシレット、そんなシレットにコンスタリオも


「そうね、確かに不安になるわ。これだけあっさりと入れるとなると……」


と同意する。だがその内心では


「いえ、もっと気になるのは……」


と別の疑念が生じていた。

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