第594話 星々の決意
「?どうかしたの?」
空弧の内心の疑問を感じ取ったのか、星峰は空弧に問いかける。
すると空弧は
「いいえ、何でもないわ」
とへんとうする。その様子は明らかに内心で何かを考えているのを誤魔化している様な返答だが、星峰は
「まあ、重要な事だったら隠さないわよね」
と自分自身を納得させる様な口調で言う。それを聞いた空弧は
「やっぱりそっち方面の事については星峰は鈍いみたいね……ある意味あの子も苦労しそう」
と内心で呆れた様な、同情する様な呟きを漏らすのであった。
一方、此処で話題に昇ったシレットはというとコンスタリオの部屋において未だに今回の一件について話していた。
「スターの話していたこの戦争の裏がキャベルやもしかしたらブエルスの中にも入り込んでいる?」
「ええ、今回のこの不可解な命令に対して一番納得出来る説明になるのはそのケースだわ。無論、考えたくは無いけどね……」
シレットが挙げた疑問の声に対し明確に回答するコンスタリオ、それはコンスタリオが出した結論がそれであると言う事を意味していた。
「一番考えたくはない話だけど、同時に考えなければいけない話でもあるわ。もしこれが的中していたら私達はそいつらの手の上で踊らされることになりかねない」
「って事はつまり、そいつらは俺達を言い様に操ろうと目論んでるかもしれねえって事か……全く持って嫌な話だな」
コンスタリオが続けた言葉にモイスも強い嫌悪感を言葉に混ぜて続ける、その怒りは相当に強い事がその言葉だけでも推測する事が出来るレベルだ。
「だったらどうするんです?ブエルスやキャベル、或いはここの中にまでその裏側が潜伏している可能性があるとすれば相当厄介な事になりますよ」
「ええ、しかも今まで私達が気付いていなかったと言う事はそれを明らかに意識していると言う事、そう簡単にぼろは出さないと思うわ。
だからこそ慎重に調べていく必要がある」
モイスとは対照的にあくまで今の現状を述べるシレットではあるが、その内心にはモイスと同様の怒り、そして疑念が渦巻いていた。特にシレットの場合、その裏側に自分の故郷を巻き込まれたのだからそれも当然なのかもしれないが。
そしてそれに対するコンスタリオの返答はシレットに対し先走った行動をしない様に諭しつつ、且つ今後の方針を伝えようとするものであった。
「裏側に潜む者の存在……必ずその正体を暴かなくては!!」
コンスタリオ自身も内心ではそう決意を新たにしていた。
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