コンスタリオの問いかけを聞いた司令官は

「やはり……その話か」

と顔、声共に完全に予想通りと言った風の返答をする。その様子を見てコンスタリオは少なくとも司令官は今回の一件について把握していると確信する。

「ええ、その件です。こちら側には断片的な情報しか伝わってきませんので。事と次第によっては其方に一時帰還する事も検討していました」

コンスタリオがそう告げると司令官は

「そうか……だが、実を言うとキャベル内部でも詳細は現在調査中であり、全容は良く把握出来ていないのが現状だ」

と返答する。だがコンスタリオはここで

「そうですか……ですが、私達が反応を確認して居た所、兵器と人族部隊だけでなく、魔神族の反応もその戦場で感知出来ました。それについてはご存知ですか？」

と魔神族についての話を切り出す。するとキャベルの司令官は

「何！？魔神族の反応もあっただと！？」

と驚いた表情を見せる。その顔からどうやら司令官は魔神族の存在については知らなかったようだと言う事が想像出来た。

「はい、間違いありません。その証拠もありますよ」

コンスタリオはそう告げると先程の戦場に現れた反応を記録した映像をその場で司令官に送信し確認してもらう。すると司令官の顔がみるみる変わり

「確かにこれは魔神族の反応だ……だが、何故魔神族がこの戦場に介入している！？しかもこの動きは……」

と驚きを隠せない様子を見せる。するとコンスタリオは

「更にもう一つ報告があります。この兵器侵攻のほんの数時間前、私達は西大陸において全く同じ形で兵器の侵攻を確認し迎撃しました。ですがその際にも魔神族が介入してきたのです。

しかも……私達は一切狙わずに兵器だけを狙って」

と火山での戦いの事を切り出す。それを聞いた司令官は

「一体どういう事だ……現地で迎撃に当たったタウンの部隊からはそんな報告は上がっていないぞ……」

そう言って声と体を震わせる。

決して恐怖を感じている訳ではない、寧ろこの状況であれば感じているのは怒りだろう、そう考えるのは容易だった。

「俄かには信じがたい話だ……だが送られてきた映像を見る限り、それは事実なのだろう。君達を助ける攻撃と言い、そうとしか言いようがない」

司令官が敢えてそれを口に出したのはコンスタリオ小隊を疑っているからではない、そう口に出さなければ到底許容出来そうにない現実が目の前に映し出されているからである。

「私達も信じられません。ですがこれが事実である以上、看過は出来ない事です」

コンスタリオは静かに、しかし強くそう続ける。

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