第566話 裏をかかれるのは誰?
「確かに……あの兵器が魔神族にとっても脅威だというだけであればまだ理解出来なくもない。
だが其れでは此方の部隊を完全に素通りしている説明がつかん。此方を素通りすれば攻撃を受ける可能性がある事は奴等とて重々承知している筈だ」
そう語る司令官の口調は明らかに早口になっていた、本人が意識しているのか
していないのかは別として。
それは司令官が焦燥感を持っている事に他ならなかった。
「この一件から少なくともあの兵器の背後に居るのは魔神族ではない事、そして魔神族も又あの兵器を問題視している事は明らかですが、其れだけだとこちらに攻撃を仕掛けてこない理由にはなりません。
これは私の勘なのですが、あの兵器の背後には何か大きな影が蠢いている、そんな気がしてならないのです」
コンスタリオはそう言い、遠回しにスターから知り得た情報を司令官にも伝える。すると司令官は
「そうだな……これはあの兵器に対する認識を改める必要がある。そして何故、この事実が此方側に上がってこなかったのか、その点についても問い質す必要がありそうだ。この件については此方でも調査を進めておく、又何かあったら連絡を頼む」
とコンスタリオに告げ、それを聴いたコンスタリオは
「承知しています、そちらも何かありましたらご連絡下さい」
と言って通信を切る、其れを確認するとキャベルの部隊司令官は
「くっ!!画面越しに魔神族が居る事を確認されていたとは……全く、中央の連中もとんだ問題を引き起こしてくれる。
これでは計画に大きな支障が……しかし、私が応対出来たのは幸いだったかもしれんな」
と怒ったり笑ったり忙しい表情の変化をみせながらモニターを見つめ続けていた。
そしてそのモニターから目を離し、ふと後ろに視線を回すとそこにはブエルスの部隊司令官が立っていた。それに気づいたキャベルの司令官は
「!!これはブエルスの司令官殿……何時からそこに立っておられたのですか!?」
と話しかけるが、その時の声は明らかに裏返っていた。
其れを確認するとブエルスの部隊司令官は
「貴方がコンスタリオ達と通信を始めて間も無くからずっと……ですが」
と明らかに含みを感じさせる声で返答する。それを聞いてキャベルの司令官は
「と、と言う事は今の会話も全て……?」
と引き続き裏返った声で話し続け、その声に対しキャベルの司令官は
「ええ、全て聴かせて頂きましたよ。
コンスタリオ達との会話も、今の貴方の怒鳴り声も」
と余裕を含んだ声を持ち続ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます