第560話 無力と言う咎
「兵器の部隊の予想進路は?」
コンスタリオが司令官にそう問いかける、すると司令官は
「現在南大陸の人族部隊が計測しています。ですが正確な計測結果はまだ……」
と回答する。その様子は言葉を濁してその場を凌ごうとしている様には見えない、恐らく司令官も本当に分からないのだろう。それを察したコンスタリオは言葉を続けず沈黙する。
それから少しして
「見て!!南大陸の部隊と兵器が交戦状態に入ったわ」
とシレットが画面に表示されている双方の展開図を見ながら告げる。シレットの言葉に反応し、一行がモニターに目を向けるとそこには確かに交戦を開始する兵器と人族部隊が映し出されていた。
「この進路から考えると……恐らく狙いは那智町か、それを含めた上でのキャベルね。このまま一直線に行けばだけど」
交戦個所から兵器の進路を推測するコンスタリオ、だがそれはあくまで先程の動揺を覆い隠す為の冷静さでしかなかった。そうでなければこの進路計算に細やかな様で奇妙な点が含まれている事に気付かない筈がない。
「兵器の数も十分揃っている……その可能性は考えられなくはねえな。くそっ、どうしてこんな状況なのに待機命令なんだ!?」
動揺がまだ抜けきっていないのか声を荒げるモイス、その荒げた声はシレットにも
「全くだわ……さっさと出撃して現場で事に当たった方が対処も早く出来るのに」
とそれを連鎖させるかの様に言葉を続けさせる。一方司令官は
「それだけ自分達の戦力に自身が有るという事なのか、それとも……」
と若干疑問を呈するような物言いだ。
「兎に角、命令が出ている以上現時点で私達に出来る事は出撃の準備をする事よ。準備だけは進めておきましょう。いざと言う時に動けない程情けない事はないわ」
コンスタリオはそう告げ、モイスとシレットに冷静になる様に間接的に告げて飛空艇に向かう。そして飛空艇に到着するとそこで先程の戦場をモニターに出し、現在どうなっているのかを確認する。
「現在の所兵器と人族部隊の戦力は互角ですね……どちらが優位と言う訳でもない……この状況で何か動きがあったらそれは……」
「事と次第によってはそれだけで戦況が大きく動くわね」
飛空艇の中でコンスタリオ小隊は戦況を固唾を飲んで見守る。そんなじれったいとも取れる状況が続く中突如として戦況のモニターに魔神族の反応も映し出される。
「魔神族の反応まで!?このままじゃ人族部隊は……」
そう告げるシレットの声も虚しく、魔神族部隊は現在の戦場となっているエリアに向かっていく。
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