第551話 二人の不満
「ええ、これらの事実からこの兵器には魔神族以外の何らかの意図が絡んでいるのではないか、私はそう考えています。まあ、正確に言えばそう考えなければ説明がつかないというのが本心ですが……」
コンスタリオがそう告げるとモイス、シレットも黙って頷いて同意し、司令官、アンナースはそれに反論する理論を組み立てられないのか黙って頷く。
「この兵器が魔神族とは違う新たな脅威になり得る事が決定的になった以上、今後はこれまで以上に兵器に対する警戒も強めた方が良さそうだ。
何かあってからじゃ遅いからな」
その後に発せられたモイスの言葉もこの状況では確かな説得力があり、司令官は
「そうですね……その点は認めざるを得ません。今後はこれらの兵器に対しても警戒をするように呼び掛けておきます」
と話し、司令のその言葉を聴いた事で少しは安心感を得たのかコンスタリオ小隊は司令室を後にしていく。
コンスタリオ小隊の姿が完全に見えなくなったのを確認すると
「全く、中央の連中もとんでもない事をしてくれたものね……」
と明らかに文句と言える呟きを零す。
「全くですよ。虎の子を動かした挙句に魔神族に一掃され、更にコンスタリオ小隊に疑念まで抱かれるなんて……今後に影響が出る可能性は考えているのでしょうか?」
司令もアンナースに同調し同じく文句を零す。この事からどうやら二人にも今回の一件は完全に想定外だったようだ。
「こうなった以上、彼等が先史遺産の兵器に疑問や警戒心を抱くのは最早避けられないわね……当然その事は中央に伝えてあるんでしょうね」
「はい。ですが中央の返答も曖昧且つお茶を濁す様な物ばかりで本当にこの問題を真剣に考えているのかどうか疑わしい物です」
「となると、一部の暴走でやったにしては不自然すぎるわね。一体何を考えているんだか」
アンナースと司令官が交互に零し始める中央と呼ばれる存在への不満、それはブントも決して一枚岩ではないと言う事を表しているのだろうか?更にアンナースは
「それともう一つ……どうしてあのタイミングで魔神族が動いてきたのか、その点も気にはなるわね……確かに奴等は以前あの火山に入っていたことがあるけどそれだけでしゃしゃり出てくるとは思えない。何か理由があるんでしょうけど」
と魔神族の行動も又予想外であった事を零す。一方、その魔神族を率いていた岬はブエルスへと既に帰還しており、何時もの様に謁見の間で今回の一件についての報告を行っていた。
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