第546話 望まぬ共闘?望んだ共闘?

岬に上手く乗せられているのではないか、そうした疑念を抱きつつもコンスタリオ小隊は岬の後に続く形で山頂である火口へと辿り着く。するとそこでは火口に溜まっているマグマの中から次々と兵器が出現し、まさに噴火の如く溢れ出していた。


「何て数……そして一体どうやってマグマの中から……」


マグマの中から兵器が出現する、その奇怪な状態に困惑すると同時に危機感を覚えるコンスタリオ。


「兎に角、早くあの兵器の集団に対応する為に飛空艇の砲撃を……」

「駄目よ。飛空艇の砲撃がマグマに影響を与えたら最悪噴火が起こりかねない。そうなれば麓の防衛部隊にも被害が及ぶわ」


兵器の群れの焦りからか、過激な発想へと行くシレットをコンスタリオが諫める。コンスタリオの言う通り、兵器の集団はマグマの近くに位置しており、砲撃がマグマに影響を与える可能性は極めて高いと考えざるを得なかった。それを分かっているからこそコンスタリオは躊躇している。

一方、先に着いた岬達魔神族部隊は既に兵器と交戦していた。その交戦によって兵器は徐々に押し返され、マグマの近くへとその位置を移しつつある。


「兎に角、見ている訳には行かないわね。兵器に対して攻撃を開始するわ!!」


コンスタリオはそういうと魔神族と兵器が抗戦している戦場に介入し、兵器との交戦を再開する。相変わらず自分達には攻撃を仕掛けてこない魔神族に不気味さを感じてはいたものの、傍目には人族と魔神族が共闘して兵器と戦っている、そうとしか映らない光景であった。それでもコンスタリオ小隊の顔は硬く、何処か油断ならないという風な空気を感じさせる。

一方、魔神族の兵士や岬の顔は戦場であるが故の緊張感こそある物の、所々で笑みが零れていた。決して策略的な印象を与える笑みではない。寧ろ安心感や嬉しさ、そうした印象が感じられる柔らかく優しい笑みである。それは戦場で二種の敵と対峙しているとは思えないものであった。


「岬様!!反応を感知しました!!」


すると突然魔神族の兵士の一人がそう大声を挙げ、其れを聞いた岬は


「具体的な場所は何処なの?そこに攻撃を集中して!!」


と言い、兵士にその反応があった場所を攻撃する様に指示する。すると魔神族の兵士は氷の妖術をその反応があったと言っている場所へと放ち、その部分を凍らせるものの、マグマの温度で直ぐに溶けてしまう。


「彼奴ら、一体何をしてるんだ?」


その行動が奇妙に思え、疑問を抱くモイス、だがその直後にその疑問は氷と同様に溶ける事になる。

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