第506話 擬態する兵器

激しい機関銃の爆音と魔道兵士が放ってくる魔法の雨、並みの部隊では即座に全滅してしまいそうな猛撃である。だが相手が天之御や星峰である以上、数による猛撃は意味を成してはいない。直ぐ様回避行動をとり、その攻撃の合間を縫って人族部隊に接近しつつ反撃に移る。


「弧妖術……白銀の月輪!!」


空弧はそういうと自身の周りにその名の通りに銀色の円を出現させそれを回転させ始める。そしてそこから鎌鼬の様な衝撃波を飛ばし人族部隊の兵器を次々と切断していく。その直後の隙を突こうとしたのか、他の兵士や兵器が空弧に狙いを定めようとするがそこに岬が接近していき


「ほらほら、よそ見している暇があるの?」


と言いながら得意の格闘術で部隊の兵士を蹴散らしていく。だが地面にたたきつけられた兵士はその時信じられない光景を見せる。叩き付けられた後にガンと言う鈍い金属音が響き、同時にその場に機械の部品が落ちたのだ。勿論近くに居た岬がそれを見逃す訳もなく


「!?どういう事なの……兵士を叩きつけた先から金属が……」


と困惑した声を上げる。その一瞬の隙を突こうとしたのか、近くに居た兵士が右手に剣を構える。だがその剣も又身に着けていたものを握るのではなく、右腕に内蔵されていた物を取り出すという生命では有り得ない出現のさせ方をしていた。

しかし武器を目の前にした事で冷静さを取り戻したのか岬は躊躇う事無くその兵士に回し蹴りを叩き込み、その剣ごと腕をへし折る。するとやはりそこからも機械がむき出しになって表れた。


「こいつ等……一体何なの!?見た目は人族なのに……」


これまでに見た事も無い兵器と人族とも異なる存在に岬は困惑を隠せない。そしてそれは他の面々も同様であった。


「人族の姿に擬態した兵器……とでもいうのですか!?だとしたら、尚の事この様な存在を放置して置く訳には!!」


豊雲はそういうと岬に勝るとも劣らない速さで人族部隊に接近し、手にした槍で兵器や兵士を突き刺していく。すると豊雲が突き刺した兵士からは血が噴き出し、その兵士が生命である事を証明する。


「血が噴き出た……と言う事はここに居る兵士全てが擬態した兵器という訳ではない様ですね。最も、どちらであっても容赦はしませんが……雲散霧消!!」


それを肉眼に焼き付けた豊雲はそう叫ぶと手にした槍を激しく回転させ、その回転させた槍に妖力を込めて触れた兵器や兵士をその名の通りに消滅させていく。


「凄いわね、流石歴戦の猛者……」


豊雲の実力に星峰も思わず舌を巻く。

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