第507話 その力は圧倒

そんな星峰に対し人族部隊は一斉に兵器の機関銃、砲弾、兵士の魔術、機械兵士の銃弾を放ってくる。三百六十度全方位から同時に攻撃され、普通に考えればとても回避出来ないレベルの一斉攻撃だ。だが星峰は寧ろその場から動こうとしない。その顔は諦めた顔ではない、寧ろ落ち着き払った冷静さを何時も通りに保っていた。


「弧妖術……白銀の光鏡!!」


そういうと星峰は自身の周囲に銀色の鏡を出現させ、その鏡で機関銃、砲弾、魔術、銃弾を全て跳ね返す。跳ね返されたそれらはそれぞれ放ってきた集団に直撃し、逆にその身を撃ち抜く。更にそれで体制が崩れた隙を突き、一気に走り抜けて戦力の中心部分へと走っていく。このまま一気に敵部隊を殲滅するのが狙いのようだ。そこに


「一寸、独り占めはずるいんじゃない?」


と言う声と共に天之御が並走してくる。


「あら、そう思うのなら……」


星峰が何か言いかけるが、それに水を差すかのように周囲から人族兵士が飛び掛かってくる。


「食い扶持は自分で稼げって事?分かってるじゃない。魔王妖術……強酸の濃霧!!」


その兵士達に対し天之御はそういうと黒い霧を発生させ、それでその兵士達を包む。するtぽその兵士たちは見る見る内にその体を酸化させ、錆付かせていく。どうやらこの兵士も又兵器の様だ。


「人に成りすます兵器……脅威となり得るし、否な存在だね」


そう話す天之御の声には微かに嫌悪感、否憎悪が混じっている様に星峰には聞こえた。それが現れているのかどうかは不明だが、天之御はその後足の速さを明らかに早め星峰を追い越す勢いで敵戦力の中核と思われる大型移動車に接近する。そして


「魔王妖術……非常なる閃光!!」


そう告げると自身の両手から激しい光を出現させそれを地面に向けて撃ち込んだかと思うとその光は激しく輝く。その輝きが収まった時、人族部隊はその大半が跡形もなく消滅していた。


「何て力だ……一瞬であれだけの部隊を消滅させるなんて……」


その光景を見た涙名は唖然とする。だが周囲を見渡してみると唖然としているのは涙名だけではなかった。空弧も岬も八咫も豊雲も、そして星峰も同様に唖然と立ち尽くしていた。


「皆、あと一息だよ!!」


その状況を見てか見ずかは不明だが、天之御がそう檄を飛ばした事で唖然としていた一同は我に返る。そして退却を始める部隊に対して空中から八咫が、地上から涙名が接近しそれぞれ


「黒羽の波動!!」

「血爪の波動!!」


と言って爪と羽から衝撃波を飛ばし、退却を始めた残る部隊を吹き飛ばして散り散りにする。

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