第484話 貫徹するコンスタリオ

その通信を受け、コンスタリオは一瞬考え込む。だが直後に


「……分かりました!!どうかご武運を」


と言って通信を切る。その行動を見たモイスが


「隊長、今のはつまり……」


と驚いた顔でコンスタリオに近づくとコンスタリオは


「聞いての通りよ、魔神族部隊の迎撃は彼等に任せて私達は本来の任務を遂行します!!もし彼等の事が気になるのであれば私達の任務を手早く終わらせ、その上で助力に向かいます!!」


と高らかな声でモイスに、そして全部隊の兵士に宣言する。


「わ、分かりました……」


これまでにない声と顔に気圧されたのかモイスは何も言い返す事が出来ず、ただ立ち尽くしながらそう答えるのが精一杯であった。

コンスタリオの宣言を受けて各部隊は出撃し、目的地であるマルセールタウンに向けて侵攻を開始する。その移動の最中、モイスは


「隊長、一体どうして作戦の遂行を優先したんですか?」


とらしく無さが漂う敬語でコンスタリオに問いかける。何時もは使わない敬語を使ってしまう程に先程のコンスタリオの気迫は強い物であったのだ。それに対しコンスタリオは


「松波街の防衛部隊の人、本来の行動を取って下さいって言ってたでしょ。あれは少なくとも私達が何らかの行動を起こそうとしている事を知っていたからこそ出た言葉よ。でも昨日司令に伝えたばかりの事が他のタウンにも伝わるかしら?」


と理由と疑念を口にする。


「確かに不自然ですね……となると何かが裏で動いた……しかしその裏は今回は私達に味方している。そういう事ですか?」


シレットがそう口にするとコンスタリオは


「ええ、そしてそうであるとするならそれにスターが関与している可能性もあるの」


と続ける。その発言を聞いたシレットとモイスは驚嘆の顔を浮かべ


「スターが関与している!?」


と大声を出す。


「ええ、そもそもマルセールタウンに何かがあるという情報自体、スターがもたらしてくれた情報なのよ……」


コンスタリオはそう言うと一昨日自身に来たスターの返信文章を見せる。


「コンスタリオ隊長、引き続き顔を出し、直接お伝えすることが出来ない事、申し訳ございません。

コンスタリオ隊長の予想通り、今回の人族部隊の侵攻阻止には何か裏があるようです。ですがこのままでは気持ちが沈み続けてしまうでしょう。

そこでなのですが、自分は先日マルセールタウンに魔神族にとって重要な何かが存在していると言う情報を入手しました。ここを奪還し、その情報を持ち帰る事が出来ればその空気を払拭する事が出来るのではないでしょうか?

マルセールタウンの地図と敵の配置図は此方になります」


そう書かれていた。更にマルセールタウンの地図と予想される敵の配置図も併記した上で。

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