第433話 勝利の後の異変
「そうは……させない!!」
星峰は静かにそう口にすると剣を構えなおし
「弧妖剣術……白銀の旋風!!」
と言って足に妖力を集中させ、凄まじい速さで動き回りつつ兵器に次々と切りかかっていく。目にも止まらぬ速さで動く星峰の動きが止まった時、兵器は既にバラバラの鉄屑と化していた。だがその中に人族の陰は無い。それを見て星峰は
「無人兵器……最悪は自爆も考えていたのかもしれないわね」
そう呟く星峰の内心は侵攻を防ぐ事が出来た安堵感、そしてブントに対して改めて抱いた怒りが静かに渦巻いていた。そこに通信が入ってくる。応対するとそれは基地司令からであった。
「星峰さん、此方側のブント部隊は全滅させました。そちらは……」
基地司令がそういうと星峰も周囲を見渡し
「こちらも全滅させたわ。後は……!?」
と言いかけるがその直後、星峰の身に異変が起こる。体が急に重くなったのだ。
「どうしました、星峰さん?」
異変を感じ取ったのか、基地司令が星峰に問いかける。だが星峰はそれに対して
「な、何なの此れ……急に体が……」
と苦しそうな声を継げるのみであった。その意識も朦朧としてくる。そして程無くして星峰は意識を失いその場に倒れ込んでしまう。
「星峰さん?星峰さん!!」
異変を感じ取ったのか基地司令は大声で呼びかける。だが星峰の目は開かず、司令の声は虚しく響くだけであった。
叫び続ける基地司令の元に別の通信が入ってくる。応対するとそれは天之御からであった。
「司令、一体何があったの!?星峰の反応が地図から突然消失したんだ!!」
普段と同じような冷静さを保っている様で少し動揺が混じっている。そんな声で話す天之御に基地司令は
「実は先程星峰さんと通信を繋いでいたのですが、突然何なの此れ……と言ってそれから……」
と事実をそのまま告げる。この状況ではそれが最善の策と判断しての事である。
「通信が途切れたの?」
涙名がそう尋ねる。その声には天之御と同じく明らかに動揺が混ざっていた。
「いいえ、通信は続いているのですが、返答が無いんです」
と告げる。
「星峰の性格から考えるなら通信を繋ぎっぱなしで何かをするとは考えられねえ、こりゃあきっと何かあったに違いねえ!!」
いきり立つような大声を上げる八咫。それに対して基地司令は
「通信機が残っているのであればその電波を辿って最後に居た場所には辿り着けます。最も近い部隊に捜索と事態の把握に当たらせます!!」
基地司令はそういうと直ちに該当する部隊に連絡を入れ、星峰の捜索と事態の把握を命じる。
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