第422話 靄人族との決着

靄人族は破損した左半分を左手で押さえ、明らかに苦しんでいる。


「このまま一気に畳みかけましょう!!」


シレットはそういうと更に追撃をかけようとするがその時靄人族が


「皆を……彼等を僕達から奪うな……」


と言い、右手のカットラスに何かの力を込めて振り下ろしてくる。その込められた力故か、そのカットラスの切れ味はこれまでの切れ味とは比較にならない程に鋭く早くなっていた。


「!?こいつ、急に動きと力がっ」


追撃をかけようとしていたシレットが思わず立ち止まり困惑した声を上げる。だがその声を聴いたコンスタリオは


「この声の上げ方……何?何かが伝わってくる……これは哀しみ、それとも……」


とその声に何か違和感を感じ、同時に何かを思う所があるような印象を受ける。

しかしそれをゆっくりと考える時間が与えられる筈も無く、靄人族は猛攻を加えてくる。その動きは先程までとは段違いに早く鋭く、そして正確である。


「動きを正確にしてきたって事は、それだけ今の場所が泣き所って事ね。ならこのまま一気に!!」


アンナースはそう話すと先程と同じ場所に銃弾を連射し、更にモイスもそこに加勢して穴を開けようとしていく。その読みは正確だった様で銃弾が蓄積するにつれて靄人族は怯み、動きが鈍くなっていく。


「最後はこれで!!サンダー・ブレイカー」


シレットはそういうと両手に雷を纏わせ、その纏った雷を目の前で合わせて放ちその鋭い雷撃は靄人族の中核を貫く。その結果、遂に靄人族は消滅していく。


「やった……の?」


シレットはそういうと膝を着き、荒い息を上げる。その様子から相当消耗している事は容易に想像出来た。はあっ、はあっと言う荒い息、勝利したにも関わらず続く険しい表情、その様子からシレットの内心で何かが起こっているのをコンスタリオは容易に察知出来た。だがその直後、消滅した靄人族が持っていたカットラスがシレットの真上に落ちそうになる。


「シレット、上!!」


コンスタリオがそう叫ぶが、シレットは気付いたものの疲労困憊しているのか動くことが出来ない。それを見て


「くっ、間に合って……」


と言いながらコンスタリオがシレットの元に駆け寄り、その体を飛び掛かって強引に動かす。その直後にカットラスが地面に突き刺さり、その外部に紫の稲妻を纏わせながら消滅していく。それを見たコンスタリオは


「あの色……やっぱりあれは……」


と何かに気付いた様子を見せる。だがその直後


「た、隊長……助かりました。そして、申し訳ございません」


と言うシレットの声がコンスタリオの意識をシレットの方に戻す。

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