第421話 シレットの焦燥

「妖術も使うって事は、この靄の中には魔神族の靄も混じってるって事?生き延びる為とはいえ魔神族と交わる何て、やはり放置しては置けないわね」


シレットはそういうと両手から稲妻を乱射し、靄人族の全身を攻撃する。だが被弾はするものの、直ぐにその場所は塞がれ傷にならない。それをみて


「くっ、こいつは一体何なの?幾ら攻撃しても再生してくる……」


とシレットが苛立ちを見せると


「靄であるが故に修復能力が強固なのかもしれませんね。ですが、それにも穴がある!!」


とアンナースが告げ、スナイパーライフルで体の中心、人族の臍付近を撃ち抜く。するとその中に光る何かが存在するのが見える。


「今見えた輝き、あれは一体……」


モイスがそう口にするとアンナースは


「確証は持てませんが、恐らくはあそこが能力を制御する中枢神経と思われます。だから……」


と言いかけるがそこに割って入る形でシレットが


「あそこに攻撃を集中させればいいのね!!」


と言い、両手を合わせて一本の長い稲妻を放ち先程アンナースが攻撃した場所に連撃をかける。靄人族は体を捻り、直撃は避けてくるものの雷のダメージはしっかりと与えており、先程とは明らかに異なる反応を見せる。うろたえ、後ずさりして怯んでいるのだ。


「反応あり……って事は当たりを引いたって事ね。このまま一気に!!」


と言ってシレットは攻め込もうとするがその直後に靄人族が左手から衝撃波を放って反撃し、それを躱しきれずに跳ね飛ばされてしまう。


「あうっ」


地面に叩きつけられ、シレットは思わず声を上げるものの、直後に受け身を取って致命傷は免れる。


「シレット、大丈夫か?」


モイスが駆け寄り、その体を支えるとシレットは


「ええ、大丈夫よ。それよりも早く奴を!!」


と言いつつ、更なる攻撃に出ようとする。だがその様子を見て居たコンスタリオは気付いていた。シレットが明らかに冷静さを欠いている事を。しかしそれを指摘する間すら与えずに靄人族はカットラスを振り下ろそうとしてくる。それに気付いたシレットとモイスはそれを避け、振り下ろした隙をついてコンスタリオがその腕に接近し踵落としでカットラスを握っている手を攻撃する。大きさ故にカットラスを叩き落とす事は出来ないがそれでも怯ませる事は出来、その隙をついてモイスとアンナースが銃で、シレットが雷の魔法で先程の光る部分を攻撃する。

三人の攻撃を同時に受けた靄人族の光る部分は右半分が崩壊し、左半分のみが残る。

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