第411話 地下に潜む魔は一つにあらず

その内容は拠点で部隊長が話していた事とほぼ同様であり、改めて説明されるまでもないような内容であった。ただ一つ、その記憶が無いという兵士が特に問題もなく任務に復帰しているという事実以外は。


「大丈夫なんですか?そんなことがあった人達をもう復帰させたりして?」


シレットが心配そうな声を上げる。その声の意味がその兵士達を気遣っての事なのか、そうでないのかは分からないがその内心に不安と懸念が満ちているのだけは確かである。


「はい、念の為松波街の医療施設で精密検査を受けさせましたが、全員特に異常は見られませんでした。ただ、それ故に猶更不可解ともいえますが」

「何故記憶が飛んだのか……ですね」


駐在部隊代表の言葉にコンsヌタリオが続け、益々事態の奇妙さが浮き彫りとなる。


「で、問題の部隊は何処に入った瞬間にそうなってしまったんです?この遺跡には私達も入った事がありますが、私達にそう言った症状は起きませんでした。

となると、少なくとも今まで発見されていた場所ではそれは起きなかったと言う事になる筈です」


コンスタリオがその点を指摘すると代表は


「はい、彼らが倒れている所を発見されたのはこれまでの調査では足を踏み入れていないエリアでした。私もそこに赴きましたが、あそこは淀んだ空気が満ちていて、長くいるには気を強く持つ必要がある。そう感じました」


と真剣な表情で言う。恐らく虚言ではないのだろう、それを感じ取り、コンスタリオ小隊の顔も険しくなる。


「で、その場所は具体的にどこなの?」


そこに何処からともなくアンナースが現れてそう口にする。すると代表は


「先日の交戦があったエリアの、最後に現れた大型兵器が出現した方向と真逆の方向です」


と告げる。


「あの方向と真逆か……道理で気が付かないはずだ」


モイスはどこか納得したような表情を見せる。


「ありがとう、それだけ聞ければもう十分……よね?」


アンナースはそういうとコンスタリオ小隊の方を向く。何かを確認しようとしているのだろう。その内容はコンスタリオ小隊にも十分すぎる程に分かり切っていた。


「ええ、行きましょう」


そういうとコンスタリオ小隊とアンナースはその場を他の兵士たちに任せ、オアシス地価の遺跡に入って行き、先日交戦した都市部分へと向かう。そして都市部分に着くと前回大型兵器を視認した場所とは反対側、つまり入り口の真下の方へと向かう。

そこには確かに何処かへと繋がっている通路が存在していた。

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