第395話 揺らぎ始める世界

「星峰、それに天之御殿下、お待ちしておりましたよ。で、コンスタリオ小隊の方は如何でしたか?」


到着早々、星峰と天之御を質問攻めにする空弧、どうやら他の面々も星峰と天之御の行動については聞かされている様だ。空弧以外の面々も言葉にこそ出さないものの、その顔は確実にこの話について知りたがっている顔であった。


「とりあえずコンスタリオは疑念を持ってはくれたわ。後は此方から上手く情報を提供出来ればブントの事を人族側にも伝えられるかもしれない」


星峰の返答に涙名を始めとする面々は何処か安心感を顔に浮かべる。やはり彼等もコンスタリオ小隊と戦う事に抵抗があるのだろうか。


「で、彼等の方はどうなってる?」


すると天之御が唐突に話す。だがその言葉に対し


「問題ありません。後は時間が来るのを待つだけです」


と豊雲が明確に返答する。唐突ではある物の、それが何を意味しているかは理解しているのだろう。そうでなければこうも明確な返答は出来ない。


「そうか。じゃ、次に僕達がとるべき行動は……」


涙名がそういうと八咫が


「それについてなんだが、キャベル方面、つまり南大陸で何か不審な動きがみられる」


と話す。すると全員が八咫に視線を集め注目する。その顔は明らかに真剣であり、冗談で言っている様子ではなかった。


「不審な動きってどういう事?今キャベルの戦力はコンスタリオ小隊を始め西大陸に戦力を派遣しているから定価は免れない筈だけど……」


詳細を聞き出そうとする岬、それに対し八咫は


「ああ、だが事実だ。これを見てくれ」


と言い、目の前に南大陸の地図を表示する。そこにはキャベルの戦力、その周辺の街の戦力が明らかにこれまでよりも増強されている事が明確に表示されていた。


「これって……戦力が明らかに増強されてる。もしかして……」


星峰が呟いたもしかしての言葉に対し八咫は


「ああ、ブント製の戦力がここにある街全てに投入され、戦力が強化されているんだ。だが問題はそこではなく……」

「どうしてブントがここにきて南大陸の戦力を増強させ始めたか……だね」


自身の考えを伝え、それに涙名も続ける。更に八咫は


「加えて、この戦力増強が人目につかず急激に行われたという情報もキャベル内の協力者から伝わっている。となると考えられるのは……」


と続け、それに


「地下から戦力が増強されたケース……ね」


と星峰も続ける。それに八咫は頷き、同時に南大陸に地下戦力が存在している可能性についても肯定する。

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